FIBA-OQT決勝「チェコ対ギリシャ」8『TOPのピック&ロールとパス』
今回も、チェコ代表チームのハーフコートオフェンスを題材としたいと思います。
2019年ワールドカップでの高確率の3Pシュートには、見事なトランジションオフェンスの存在があることは、これまでの記事にも記載した通りです。(http://basketball-school.jp/writer/kataoka)
ハーフコートに目を向けた際に際立つのは、ピック&ロールの攻防の巧さです。
一つは、アウトサイド選手、インサイド選手の両方のパススキルに着目してみましょう。
1、プレーの構図
2、プレーの流れ
1-4の形でスタートします。
ウィングにパスをしたのちに、図のように各選手がスペーシングを取ります。
中央の位置では、ダウンスクリーンからトップの位置でのピック&ロールがスタートします。
ここで、トップの位置で非常に細かな攻防があります。
ダウンスクリーンに対し、X3はスクリナーの下側を通り、先回りをしようとします。
そこで、スクリナーの5番は、右側にスクリーンをセットします。
そうすることで、再び右方向へドライブをしやすくなります。
ただし、ここでは結局スクリナーと反対サイドにドリブルを仕掛け、ペイントエリアへと侵入します。
そのまま放置していてはリングへの侵入を許してしまいます。
X5がドリブルを止めるべく、ヘルプを試みます。
その瞬間、一度ドリブルでディフェンスを引き付けた上で、ロールをする選手へとパスを出します。
インサイドの選手がドリブルをし、X2、X5を引き付けた上で、コーナーへとキックアウトパスをしました。
3、まとめ
インターネット等で、様々なチームのオフェンスシステムを確認することができます。
本プレーも、動きとしてはそこまで複雑ではありません。
もちろん各ポジショニングが絶妙に設計されており、ディフェンス側にとっては守りにくくなっています。
ただし、何よりも大切なのは遂行力にあるといえるはずです。
このプレーでも、ダウンスクリーンの攻防やRejectのチャンスを見逃さない抜け目なさがあります。
また、X5のディフェンスを見てロールにパスを出すプレーが存在してこそ成立したプレーです。
インサイドの選手がアウトサイドにボールを出す瞬間、ギリシャチームのDFが4人ほど、ペイントエリアに集まっています。
反対サイドのコーナーにもボールを展開するチャンスもありました。
またこの場面、育成世代になればなるほど、インサイドの選手が判断を見誤る可能性もあります。
自分でシュートまで持っていくか、アウトサイドにキックアウトをするかの判断が卓越しているからこそ、オープンの3Pシュートのチャンスを導くことに成功しました。
フォーメーションだけではなく、アウトサイド、インサイド、両方の選手の遂行能力も訓練が必要です。
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株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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