FIBA-OQT決勝「リトアニア対スロベニア」より5

スキルアップ ディフェンス 動画 片岡 秀一

東京五輪もいよいよ佳境となりました。男子決勝戦はアメリカ対フランスに決定(原稿執筆時点)。

初出場のスロベニア代表は、フランスに惜敗。3位決定戦でオーストラリアと対戦します。初出場でメダル獲得となるかに注目です。

さて今回も、FIBA-OQT(オリンピック最終予選)決勝「リトアニアvsスロベニア」よりスペインピック&ロールに関連する攻防を取り上げます。

今回は、相手チームが1枚目のスクリーンでスイッチをした際の攻防です。

1、ピック&ポップの守り方(図解説)

ピック&ロール ディフェンス1 ピック&ロール ディフェンス2

2、ピック&ポップの守り方(流れ)

トアニア代表チームの1人目のスクリナーディフェンスが、スイッチをしてドンチッチ選手のドライブを防ごうとします。

図5の選手にはX1がしっかりとマーク。サイズのミスマッチはありますがノーマークではありません。前回事例での失点を活かしています。

図3の選手も再びスクリーンをセットします。

形式としては、2枚連続でのピック&ロールという形になりました。

ここで、リトアニアのディフェンスに不具合が発生します。

X5はファイトオーバで守ろうとする意思を見せて実際に守ります。しかし、X3の選手もドンチッチのマークに出てしまいます。

ダブルチームを狙うのであれば、それはそれで問題ありません。

しかし、役割分担がはっきりしていないように見受けられます。

図3の選手がトップの位置へポップした際、どちらがマークするかの判断が曖昧です。

結局、ドンチッチ選手が的確なビハインドパスを通し、ノーマークでボールが渡りました。

結果としてトラベリングになりましたが、得点チャンスを伺わせる場面でした。

3、ピック&ポップまとめ

もしこれが、通常のサイドでのピック&ロールであればどうでしょうか。

スクリナーのディフェンスは、ボールマンディフェンスのファイトオーバーを確認できていれば、もともとのマークマンの動きに反応したはずです。

仮にスクリナーがポップしたとしても、ここまでノーマークにならず、スクリーンの影響を受けずにボールマンを守れていたでしょう。

スイッチをする場合も元々のボールマンの選手は、迷わずにポップに対して予測と反応をしたはずです。

また、ここで2名のディフェンスでボールマンに圧力を与えるべく、トラップをした場合も同様です。

その際には、トップのポップに対しては3人目のディフェンスがローテーションを用意したことでしょう。

スペイン ピック&ロールのように、狭いエリアの中で連続した攻防が発生する場合、どうしても情報の処理や判断に迷いが発生します

オフェンス側が的確に判断することが大前提ですが、遂行力が高ければ高いほど、守りにくいプレーであることが分かる事例ではないでしょうか。

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この記事を書いた人片岡秀一片岡 秀一
株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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