【片岡編集長】(番外編)米須選手のスーパーアシストを分析する
現役高校生としてB.LEAGUE特別指定選手としてプレーしている米須玲音選手がデビュー戦で見事なノールックパスを魅せました。
「天才」や「パスセンスがある」と評されるのも納得のプレーでした。
下記の映像を見る際、私は、「パスセンス」の礎になるフレームワークを米須選手が当たり前のように備えている事に気が付きました。
本稿では、「パスセンス」が発揮された背景の分析を試みたいと思います。
※該当部分の時間を指定しています
1.プレーの推移
2.プレーの流れ
高い位置でピック&ロールを仕掛ける場面で、本プレーの布石があります。
レバンガ北海道は激しいボールプレッシャーでドリブラーの自由を奪くべく、守ってきました。
その際、スクリナーの選手がROLL(DIVE)に対し、ウィングのX2がマークをしました。
X5は、米須選手にボールマンプレッシャーを与えています。ここで米須選手は身体の側面よりパスを通過させ、ボールを失う事なく味方の選手へパスを展開。
北海道の選手がローテーションになっているのを見極めるや、川崎は素早くボールを回します。
図②の藤井選手にボールが回り、マークマンが入れ替わります。その後、再び米須選手へボールが回ります。
ここで重要なのは、5番の選手にX2がマークをしている事です。コート図上ではノーマークではありません。
しかし、高さとパワーで圧倒的に優位です。これを見逃さない手はありません。
米須選手も、その状況が視覚で捉えてられているはずです。その上で「ここにパスが通ればチャンスがある」という考えでコート上の情報を処理したのではないかと思います。
その後、身体と顔は右サイド方向を見ながら、見事にインサイドへとロブパスを通しました。
この部分は、米須選手のパスセンスのなせる業であるといえるでしょう。
しかし、その前に「5番の選手にX2がマークをしており、高さとパワーで圧倒的に優位です」というチャンスの芽に気が付いているからこそ、「より相手を欺き、インサイドの選手が優位な状況でボールを通すか」と逆算したのではないかと推察します。
勿論、インサイドの選手が「自分のマークはミスマッチなのだからボールを要求する事(自分自身のチャンスを自覚する事)」や「味方のパスに対して反応をする事」も本プレーを成功させた要因と言えるでしょう。
当たり前のようですが「自分自身がチャンスである自覚」があってこそ、パスに反応できたと感じます。
3.まとめ
ハイライトシーンだけを切り取れば、「天才的なセンスを持つ選手」が「ノールックパスを成功させた」という衝撃だけで終わってしまいます。
確かに、最後の瞬間を「ノールックで正確に」パスを出したのは米須選手ならではの感覚や技術です。
しかし、「高さとパワーで勝っているので、ボールを届ければ得点チャンスが高い」というチャンスの芽に気が付く能力は、センスは関係がないのではないでしょうか。
視野を確保してコート上の情報を視覚的に入手する事と合わせ、チャンスの芽を見逃さない感性を育むことは、パスセンスを磨く一つの道筋といえるでしょう。
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