【片岡編集長】バンプで時間を稼ぎつつ、瞬時に次のプレーに移行する

スキルアップ ディフェンス 動画 戦術 片岡 秀一

引き続き、女子代表チームのDFコンセプトを題材としていきたいと思います。
同チームは、オリンピックでの金メダル獲得を目指して強化を進めています。
日頃のインタビュー記事は勿論ですが、トム・ホーバスHCがJBAコーチカンファレンスに登壇された際には公言されていました。

同HCは、選手時代より、高い目標を掲げ、それに向かって努力をする事を人生の基本的な心構えとされていたようです。
原体験としては、少年期にNBA選手になりたいと夢を描き、それに向かって努力をし、実現させた事も大きく影響しているエピソードが紹介されました。

オリンピックでの金メダルを目標とした際、日本女子代表チームの場合は、どうしてもインサイドでのDFやDFリバウンドがネックになります。
ただし、チームとして完全にゴール下での攻防を諦めているわけではなく、コンタクトプレーの強化や、ポストでボールを貰われる前のDFスキルに磨きをかけている様子が伺えます。
以前に紹介をした大崎選手のDF映像が、最たる例です。

それを踏まえた上で、どうしても補えない部分や、チームの連携でカバーできる部分はチームDF戦術でカバーしています。
その一つが、以前に日本対ベルギーの映像でも紹介をしたインサイド選手のオフボールスクリーンに対するバンプです。

2018年の女子ワールドカップでもオフボールスクリーンに対するバンプは徹底されており、一糸乱れる連携は見事でした。
FIBA OQTでのオーストラリア戦を題材に、一度、その場面を見てみましょう。

プレーの推移

・インサイドの選手を守るオコエ選手に、赤穂選手のマークマンがスクリーンをセット。
その瞬間、赤穂選手は相手センターに対して正面でバンプをし、パスコースを防ぎます。
オコエ選手は、バンプによって稼いでもらった時間を利用し、元々のマークマンに戻ります。
赤穂選手がSwitchをしたわけではなく、あくまでもバンプで一時的にケアをした事を把握しておりますので、DFの位置取りをすると同時に、相手センターに押し負けない力強い姿勢を作ります。

・オーストラリア代表は、スクリナーのオフェンスに対して、もう一枚のスクリーンを用意しています。
赤穂選手にとっては、相手インサイドへバンプをした直ぐ後に、もう一枚のスクリーンを処理する必要性があります。
この場面、屈強な選手にバンプをした直ぐ後に、直ぐに残りのスクリーンを察知し、DF同士で連携を取っている事が見て取れます。
宮澤選手は、スクリナーの動きを制御しつつ、赤穂選手のマークマンの様子を捉えています。

・結果的には、オーストラリア代表のインサイド選手へボールが供給され、そこに対して宮澤選手がダブルチームに向かった為、外側へは出ずにリバウンド等に備える体制になりました。
この数秒間の中、非常に多くの情報を視覚や聴覚から捉え、その瞬間でベストな行動を選択されている様子が分かります。

別のケースでは、2回目のスクリーンに対してスイッチしているプレーも同試合では発生していました。

ここで、アウトサイドの選手には、屈強な選手にバンプをした際に邪魔になるような身体能力の強さが求められます。
直ぐに次の行動に移る為にも、両足で地面を捉えたままにしておけるバランス能力も欠かせません。

長期的な視点に立った選手育成の重要性が求められています。
一つの指標となるのがコーディネーション能力と呼ばれる能力です。
定位能力、変換能力、リズム能力、反応能力、バランス能力、連結能力、識別能力に区分される各能力を、若い時代に鍛えておくことが大切と言われています。

近年の研究等では、競技をスタートする視点と、競技を特化する視点で、各競技特性に応じて区分されているようです。
バスケットボールは「早期にスタートしたほうが有利な事が多い」が「バスケットボールのみに特化」するのは遅くでも良いとされています。
例えば、バスケットボールよりも身体接触やパワーが求められる競技にも取り込んでおく事で、後々の競技にも役立つという考え方です。

世界の強豪チームに伍して戦おうと考えると、日本国内だけでは、到底経験できないような身体接触の強さや、重さへの対応が必要になる事もあるでしょう。
コート上での、現在の日本代表選手の見事なプレーに感服すると共に、未来の選手を育成する為には必要な要素が推察できる一場面でした。

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