【小谷コーチのバスケットボールを分析しよう！】「eFG%」を導く

こんにちは！小谷究です。

私は現在、流通経済大学スポーツコミュニケーション学科で助教を務めています。また、同大学バスケットボール部を指導しています。

このメルマガでは、バスケットボールを分析する方法について一緒に勉強して行きましょう。

前回はショット1本で得ることが見込まれる得点である期待値について紹介しました。

前回紹介した期待値は「3P%」に3点、「2P%」に2点を乗じたもので、3ポイントショットの期待値と2ポイントショットの期待値をそれぞれに導き出しました。

しかし、プレーヤーがどれほど効率よくショットを放っていたのかを知ることができません。

例えば、前回も例にあげた2018-19シーズンにおけるステフィン・カリーの3ポイントショットの期待値は1.35点、2ポイントショットの期待値は0.93点になり、レブロン・ジェームズは3ポイントショットの期待値が1.02点、2ポイントショットの期待値が1.16点になります。

カリーのほうがレブロンよりも3ポイントショットの期待値は高いのですが、2ポイントショットの期待値はレブロンのほうがカリーよりも高くなります。

レブロンとカリーのどちらがより効率よくショットを放っていたのでしょうか。

ここで有効になるのが「eFG%」になります。「eFG%」とは、Effective Field Goal Percentageのことでシュート効率を意味します。

3ポイントショットは2ポイントショットよりも1.5倍の得点を得ることができることから、「3PM」に1.5を乗じた数値に「2PM」を足した数値を「FGA」で除し、パーセント表記にするために100を乗じたものが「eFG%」になります。

「eFG%」という表記をみるとシュート成功率を示しているような感覚に陥ってしまい、混乱しそうになりますが、あくまでシュート効率を表す数値として捉える必要があります。

 

eFG% = ( 3PM * 1.5 + 2PM ) / FGA * 100

 

それでは、カリーとレブロンの「eFG%」を導いてみましょう。

カリーの「3PM」は5.1なのでこれに1.5を乗じると7.65になります。

これに「2PM」の4を加えると11.65となります。

この値を「FGA」の19.4で除して、パーセント表記にするために100を乗じるとカリーの「eFG%」である60%が導き出されます。

同様にレブロンの「eFG%」を求めると56%となります。

 

カリーの「eFG%」 = ( 5.1 * 1.5 + 4 ) / 19.4 * 100 = 60%

レブロンの「eFG%」 = ( 2 * 1.5 + 8.1 ) / 19.9 * 100 = 56%

 

したがって、レブロンとカリーのどちらが効率よくショットを放っていたのかという問いに対しては、カリーと答えることができます。

さらに、「eFG%」に2を乗じればフィールドゴールの期待値が導き出されます。

 

フィールドゴールの期待値 = eFG% / 100 * 2

 

カリーのフィールドゴールの期待値は1.2点となり、カリーにボールを渡してショットを放たせさせれば、ショット1本につき1.2点を得ることが期待されます。

一方、レブロンのフィールドゴールの期待値は1.12点となります。

このように、「eFG%」を用いることでフィールドゴールを構成する2ポイントショットと3ポイントショットの割合が異なるプレーヤーやチームの期待値を比較することが可能になります。

 

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