寮で成功するチームと失敗するチーム(下)【梅原トレーナーのからだづくり哲学】

スキルアップ チーム作り 梅原 淳

寮をおもにリクルート用に使っている人、具体的に申せばそれは学校というよりも監督、コーチという指導者を指していて、寮があるおかげで県外選手を引き入れることができて有利だと満足しています。

この満足が落とし穴で、声を掛けた選手を獲得することができたことで、寮の役目はすでにして完遂していることになります。

本当はなにも果たせていないのですが、そのような感覚の監督、コーチは少なくありません。

たとえばもし、15,16歳から親もとを離れて、食事付き、目の前が学校という立地、隣部屋や周囲の部屋が友達だらけの生活をはじめたなら、どんな変化が起こりそうでしょうか。

あたりまえに懸念する材料が揃っており、寮はプラスどころか大きく下降する環境と化してしまいます。

そこを用心しない管理者(監督やコーチ)が、失敗する典型なのです。

自ら兜の緒を締められる十代はいない

誰の目にも触れることのない自分だけの自由な空間、それを「スポーツで成功するためにここへ進学したのだから」と成長のために精一杯努める人間は、間違いなくプラスを生むでしょう。

しかし多くの日本の十代はどうなるでしょうか。大概にして自由が別の方向へ行ってしまうとたやすく想像することができるし、実際に気が緩んでしまうのが痛い現実です。

大人でさえ、自分を律することのできる人は少ないのですから、社会人への勉強過程である年代に、誰のなんの管理もなく自分から良き投資のできる人などそうはいません。

加えて楽という意味で快適な生活条件が、寮というところにはバッチリと揃っているわけですから、15,16歳の時分から快適な一人暮らしをするだけのことになってしまいます。

寮は正しく扱わないと生活を壊してしまう諸刃の剣なのです。

私生活を勉強する場所

スポーツや学問にとり寮生活を行うことの本当の価値は、主にそれ専用の生活管理ができるところです。

それは具体的に、ひとつには食事があります。それから睡眠について起床時間と就寝時間を整えることができることです。

さらに言えば入浴、病気の予防、衣類や道具の扱いなどについて改めることもできて、プラスに生活改善できる可能性というものが大いにあります。

つまり親もとでは甘えが前に出てしまって緩くなっている面を、寮生活ならば良くしていけるのであり、学問のみならず私生活も学校で勉強、訓練するのだといった目的がそこには存在しているのです。

改善すると言っても実際には些細な変化なのですが、それを理想に掲げるだけではなく実行することがすべてですから、現実的にできていないしこれからも難しいとすれば、その部分はできる場所で取り組むべきです。

そして日常生活にはそのようなことが多いと私たちは知っているし、家庭では子どものスポーツ進学を主体にした生活を営んではいません。

スポーツに集中するのならばなおのこと、寮で私生活を送る意義があります。

私生活を正すことを軸に寮制度を活用すれば、その恩恵は確実に受け取ることができるでしょう。

あるものを正しく活かす

寮制度というのは、そこへまっしぐらに打ち込める最高で最良のチャンスです。

缶詰状態にして縛るだけであったり、羽を広げて崩れた生活を許してしまうことが少なからずあろうかと思いますが、真の良き面をしっかりと理解して積極的な活用をするべきです。

寮を活かし切れていない人、チームがまだまだあるように見ています。環境は絶対的な力ですから、正しく活かして大きな成長そして成功をものにしていただきたいと思います。

全三回にわたりお届けしました。今回も最後までお読みいただき有難うございました。

(了)

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この記事を書いた人梅原淳梅原 淳
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。
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