【続】体づくりの成果が見られない理由はこれかもしれない(前編)【梅原トレーナーのからだづくり哲学】
こんにちは、梅原淳です。
少し前に公開したトレーニングレポート No.108「ウエイト・トレーニングでの負荷の掛け方」で、筋力トレーニングの負荷について、重量以外の掛け方を解説しました。
その号外として、今日はあえて重量の話をしたいと思います。
トレーニング法をそのまま採用しない
私は普段、選手らに「重さは気にしなくていい。トレーニングで筋力が伸びるのは当然の事だから」と話し、それは必ず成長するからもっと他の部分に意識を向けようと促しています。
事実、トレーニング器具の重さはあまりにデタラメでさえ無ければ、細かく気にしなくてもちゃんと筋肉は育っていきます。
また小さすぎる負荷で肉体疲労を避けようとする選手もいますが、もはや論外ですから省いて考えれば重量などというのはトレーニングの必然であり、ただ重いか軽いかだけのことです。
つまり大きな問題ではないので、そこに意識が留まっているのは賢明ではなく、もっとスポーツ・パフォーマンスに寄与する要素に目を向けるべきだと考えています。
たとえばいま実際に日本の高校生に取り入れている方法をひとつ申し上げると、1セットにつき20回の反復を、休息2分程度を挟みながら3セット行うトレーニングをつくっています。
このトレーニング負荷の大きさが、20回ではなくて10回、3セットではなく4セットのように、種目によってそれぞれ設定があります。また体の成長によっても変わっていきます。
これは私の考えと計画によって、ある意味で自由に決めています。重さを中心としていないので、トレーニングの教科書に載っている原則どおりではない、ということです。
なぜ10回×3セットなのか
たいていの場合、バーベルを使ったトレーニングを行う際にまず私たちが気に掛けるのは、どのくらいの重さを何回行うか、何セットおこなうかということです。
シンプルに記すと、トレーニングのはじめは
- 目的の身体部位(鍛えたい筋肉)を的確に刺激するために良い動作を身につけること
- 筋肥大を狙うこと
このふたつに焦点が置かれるので、最大反復法と言って最大筋力の60〜70%の重量で限界まで動作を繰り返す方法を採用する場合が一般的です。
もっと簡潔に言えば、なんとなく定番で連続10回とか15回とトレーニングすると思いますが、そのあたりの反復回数が上記のパーセンテージということになります。じつは意味があったんですね。
体力トレーニングについての理論を学んだ人は、それらをベースとして負荷を決めるはずです。何回を何セット行うかは、導き出されたシステムに準じているのです。
そして私は現場にいる立場から、それをやめるべきだと思います。
理論どおりでも現実的ではない
前述のように定番の回数とセット数には、きちんとした理由があります。それらに則って段階的に筋肉を育てようとすることは、手順どおりであるし良いことです。
でもその理論が必ずしも当てはまるとは限りません。
とくに中高生のジュニア世代において、身体的成長の段階には個人差があり、また運動技量においてレベルの高低は様々で、さらに肉体的強さについても同様のことが言えます。
どのようなトレーニング負荷の掛け方がマッチするかは、理論どおりにはいきません。筋肉に負荷を掛ける方法として一様に理論をそのまま当てはめるのが決して正解ではないと、長い現場経験で学びました。
具体的に言うならば、最大筋力の60〜70%で数セットずつトレーニングする方法が基本ですが、それでどんな選手もうまく体づくりが進んでいくと考えるのは理論的であり現実的ではない、と断言できます。
つまりその理論どおりの方法で失敗する場合も、少なくないケースにおいて実際にあり得るということです。私自身もその経験者の一人です。
もう少し詳しく解説しますので、ここで一旦区切って次回に続けたいと思います。
(つづく)
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