【片岡編集長】ナショナルチームのゲームより12『ドラッグスクリーンでスクリナーの向きで工夫する』
今回も、男子ワールドカップでベスト4に輝いたオーストラリア代表チームのアーリーオフェンスを紹介していきたいと思います。
同チームでは、突破力と得点力に長けたミルズ選手、広い視野と判断力を武器とするイングルス選手が存在します。
ハンドラーとしての両選手の魅力を最大限に生かす戦術として、Drag Screen(ドラッグスクリーン)と称される、アーリーオフェンスの流れの中でのOn ball Screenが多用されます。
今回も、
- プレー映像
- 構造
- 流れ
と共に、Drag Screenにおける攻防の詳細を見ていきます。
■向きの攻防 Step UP
1、プレーの構造
2、プレーの流れ
ピック&ロールに対する守備戦術として、ICEと呼ばれるプレーがあります。
ボールマンのディフェンスがスクリナー側を守り、スクリナーのディフェンスがボールマンとリングを結ぶラインを守るディフェンス戦術です。
元々、ピック&ロールを使いたい方向にディフェンスをする事で、オフェンスの選択肢を潰す事が目的です。
本稿では詳細は割愛しますが、ICEへの対策として下側からスクリーンをセットするプレーがあります。
本プレーでも、スクリナーの選手はディフェンスの下側にセットしています。
(本プレーだけでは、ICEかどうかの判断は難しいですが、スクリナーのディフェンスが迷わずにボールマンとリングとを結ぶラインを守っている都合、ICEで守ろうとしていると判断をしました)
ここでボールマンの選手は、スクリナーに対して警戒しているボールマンディフェンスを逆手に取り、ベースラインへとアタックを選択します。
その後、インサイドのディフェンス(X4)が、スクリーンの後に3Pラインの外で待ち構えているのを見て、元々のマークマンへと戻ります。
(ICEの場合、スクリナーのディフェンスが下がる為、POPをする事が有効と言えるでしょう)
その後、緩急や足のステップを組み替え、リング下の深いエリアまで侵入します。
インサイドのディフェンスがカバーに出ようとした際に、コーナーのディフェンスがインサイドのヘルプのヘルプへと移動します。
その隙を見逃さず、見事にコーナーへパスを出しました。チームの得点源の1人でもあるミルズ選手の3Pショットへと繋がりました。
3、総括
ベースラインへのアタックに至るまで、シンプルなように見えて、非常に多くの攻防がコート上で繰り広げられています。
そしてここでも、周りの3選手のスペーシングが適切である事がチャンスを拡げていると言えるでしょう。
高い位置でスクリーンがセットされることを把握し、インサイドも一人はリング下で合わせに備えて待機。残りの選手は、アウトサイドで待機し、ドライブからのパスコースを伺っています。
前々回と同様となりますが、攻守の切り替えから連続性の中で行っている部分を除けば、ハーフコートバスケットにおけるサイドの位置でのピック&ロールに伴うスペーシングとコンセプトは同じです。
また、何よりもドリブラーとスクリナーの判断が見事であったことが成功の要因といえるでしょう。
Drag Screenを成功させるカギは、
- そもそものスクリーンの使い方
- ディフェンス戦術に応じた使い分け
- 周りの選手のスペーシングの判断能力の向上
が必要になるでしょう。
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株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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