【片岡編集長】Miss Matchである事を自覚し、個人、チーム共にいち早く対応する

スキルアップ ディフェンス 動画 戦術 片岡 秀一

今回の記事では、女子日本代表対オーストラリア代表チームの試合映像より、印象的な場面に潜む女子代表チーム各選手の素晴らしい連携を紹介したいと思います。

以前の記事で、オフェンスの局面でadvantageを見逃さない」という切り口にて、吉田選手と渡嘉敷選手の瞬時の判断を紹介しました。今回は「自分たちのdisadvantageを察知し、直ぐに最善の対応をする」という事がコンセプトになります。

◇前提となる情報

・この試合の女子代表チームは、オフボールスクリーンに対し、C(5番)のDFだけは基本的にスイッチしない方針で挑んでいた。クロススクリーン等でゴール下でのパスを狙われる場合は、アウトサイドの選手もインサイドの選手にバンプをし、元々のマークマンが戻れるだけの時間を稼いでいた。

※ポジションに関わらずに、バンプが必要になる事や、「強さ」という指標を大切にされている事は代表スタッフが登壇したセミナー等でも強調されています。

◇プレーの推移

・インサイド選手へのオフボールスクリーン。GとCの組み合わせとなったがバンプで時間を稼ぐ。

・豪は、STS(Screen to Screener)でダウンスクリーン。PFの選手がスクリナーとして続く。基本的には、本橋選手がスクリーンを交わそうとすると、アウトサイドシュートのチャンスを察知して宮澤選手はスイッチ。シュートチャックを試みる。

・PFとGのSwitchなので、豪はインサイドのプレーを狙う。に移行。本橋選手もサイズとパワーのMiss Matchである事を自覚しているので、直ぐにオフェンスの前に立つ。

・周りの選手も、本橋選手のマッチアップがMiss Matchである事を自覚。直ぐにHelp Position等の準備をする。

(サイズのミスマッチの際、どのように守備戦術を選択するかはチームによって様々)

◇総括

・宮澤選手のSwitchが無ければ、最初の場面でオープンの3Pシュートが打たれていた可能性も大いにあったと思われます。また、もし、Switchをした本橋選手が、自分自身が相手のPFをマッチアップしており、サイズの面で不利である自覚が遅れていれば、即座にパスが通ってしまった可能性も考えられます。そうなってしまっては、どんなに周りの選手がHelp等の対応をしても対応しきれません。

・女子代表チームACを務める恩塚コーチは、雑誌インタビュー等で「バスケットボールの本質を理解し、ストーリーを持ってプレーできるように選手を支援する」というような表現で、選手の判断能力の向上を促す為のコーチングの重要性を語っていました。

この場面との関連は不明ですが、女子代表チームはDFを遂行する際にも、バスケットボールの本質を理解し、相手チームのストーリーを予測できているように感じました。

様々なDFシステムが存在しますが、それらを遂行する際に必要な素養として「自分自身のdisadvantageに気が付く事」及び「味方のdisadvantageに気が付き、選択肢の中で最大限にカバーをする」という根本的な発想力と行動力を伸ばしていく為の取り組みの重要性を感じさせる一場面でした。

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