【片岡編集長】トランジションDFの向上を目指す10

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12月23日より、SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会が始まります(原稿執筆時点では開催前)。

日本バスケット界の大注目トーナメントの1つ。

優勝の行方にも注目が集まりますが、今シーズンはコロナ禍で多くのチームが苦しい時間を過ごしました。

各チームにとって素晴らしい大会になる事を祈っています。

トランジションDFというテーマと共にウィンターカップを考えた際に、2016年に決勝戦を戦った福岡第一高校対東山高校が決勝戦を戦った際のエピソードを紹介させてください。

この試合、元日本代表の長谷川健志コーチが解説を務めていました。

福岡第一高校がディフェンスリバウンドを獲得後、ボールを繋いで相手リングへと攻め込みます。

◇「ボールを眺めていてはいけない」

その際、プレーに直接的に関わらない東山高校の選手数名がボールの行方を眺めている時間帯がありました。

結果的に、福岡第一高校の見事なアーリーオフェンスへと繋がるプレーになります。

この場面、長谷川コーチは「ボールを眺めていてはいけないですね。直ぐにペイントエリアにダッシュをして戻らなければ」と呟き、東山高校のトランジションDFを指摘します。

DFリバウンド獲得後の密集地帯でのプレーでしたので、もしかしたら味方の選手がボールをスティールする可能性もありました。

ボールの行方を見ていれば、確かに逆速攻に素早く転じられるケースでもありました。

が、結局、福岡第一高校は「ボールを素早く運ぶ事」と「相手チームにスティールをされない」事を両立し、東山高校のDFを交わします。

あくまでも筆者の考察ですが「もしかしたらマイボールになるかも、、、」という思惑で数秒間、ボールの行方を見てしまっていた選手は、その際のリング下でのDFの攻防に間に合いませんでした。

スプリントバック」という単語は非常に単純です。

ですが、「どのような状況下でもスプリントバックを出来るかどうか」という部分は、非常に難しい命題です。

81対78で福岡第一高校が勝利を掴んだ決勝戦。

もし、解説の長谷川コーチが指摘をしたようなトランジションDFの部分での習慣や規律が高ければ、もしかしたら結果は異なったかもしれません。

◇レイアップの後に、直ぐにスプリントバックする習慣作り

以前、日本バスケットボール協会の全国コーチクリニックにイスラエルのアリク・シベック (Arik Shivek) 氏が講師を務めた際に、ディフェンスリバウンドとトランジションDFは能力に劣るチームが勝利を目指す際に絶対に向上を目指さなければならない項目と紹介しました。

同氏は、選手に指示をするだけではなく、正しい動きを教え、習慣になるまで落とし込むことが重要であると強調します。

レイアップのドリルの際にも、シュートを打った選手が、直ぐにダッシュをする動きを指示。先ほどにシュートをしたリングに顔を向けつつ、腕を振り、ハーフコートまで戻ります。

そして、ハーフコートまで戻った後には、バックランでフリースローライン付近まで下がりました。

この動きは、実際のゲームでも必要になる動きです。

勿論、アップの要素でレイアップに取り組んでいる場合は、ダッシュを何度も要求するのは体への負荷も強いです。

仮に、ダッシュではなく、6割ほどのスピードの動作を要求したとしても、「シュートをしたのちに、直ぐにDFの動作へ移行」という判断の速度を向上させる習慣造りになるのではないでしょうか。

上記のように、実際にゲーム中に必要な動きをドリルの中で負荷を与え、反復練習をする事で、バスケットボールを攻略する為に必要な動きを選手に習得させる事の重要性を強調していました。

冒頭の映像では、コート上部の選手が、『味方のターンオーバーの後にも関わらず』直ぐにスプリントバックを見せています。

結果としてフリースローファールには繋がりましたが、ノーマークノレイアップは阻止しました。

1点、2点で勝敗が決する事の多いバスケットにあって、「ノーマークのレイアップ」か「フリースローで相手がミスをし、1点、または0点に抑えたか」は大きな違いです。

このようなスプリントバックこそが、大事な試合の、大事な場面で、チームを支える礎になることでしょう。

今回のウィンターカップでも、様々なチームが素晴らしいトランジションDFを見せ、ハイレベルな攻防で多くの観客を感動させてくれるはずです!

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