【梅原トレーナーのからだづくり哲学】風邪は治すではなくひかせないのが真のアスリート その3

スキルアップ トレーニング 指導法 指導者 梅原淳 育成法

前回、運動部の選手が體を冷やしてしまう原因について、大きなものを二つ挙げてみた。当てはまる人もそうでない人も、もちろんいるはずだ。

さらに深く掘り下げれば日常において體を冷やしている原因はまだたくさんある。しかし細かくなると当てはまるものが少ない個別のケースにもなってくるので、二つにとどめたいと思う。

(1)ドリンクの飲む量と温度に気を遣おう

(2)さらにクーラーの活用の仕方を少し改めよう

そこから先として、季節感なくいつまでも薄着でいるとか、風呂に入らずシャワーだけになっているなど、ご自身で思い当たるものがあるならば、改善することをお勧めする。

免疫力を高め、悪いものを取り除くためには、體をあたためることが大原則である。アスリートはさらに試合や練習後の熱をもった體を沈ませようと、冷やしすぎる傾向にあるから、その加減をおこなうことが必要だ。

不調のときは食べない

さて、もう一つ、ぜひ試していただきたいことがある。

それは「断食」だ。

体調を整えるためには、普段からの物事の加減つまり養生と、免疫力の強化が必要である。少し調子を崩しても強い免疫力と日頃からの健康の貯蓄があれば、大きくならず長引かず、少々のことで治まる。

現代における私たち日本人のものの見方や考え方は、一般生活に至るまで西洋医学ですべてを覆われ、なんでもカロリー計算と栄養素の摂取で捉えている。

力をつけるため元気になるために、とにかく栄養を取れ、無理にでも食べろ食べろとやっているが、これからは考えを改めたほうがよい。

普段から不摂生だったり免疫力の弱い人は、風邪をひく前から本当はアウトだ。

唯一つの事実は、あなた自身のみなぎる体力が病気を寄せ付けず健康を保っていることであって(これを防衛体力と言います)、病気をしてから栄養を取る取らないの話では一切ない。

食べることが回復を阻害する

さらに体調を崩していれば内臓の働きも落ちている可能性が高く、食べたものはスムーズに消化吸収しない。

具合が悪いときにしばしば胸やけを感じたり、吐き戻したりすることがある。それはなにも食べた物が腐っているからではない。体調が悪いときに迂闊に古くなったものを口にするだろうか。大抵は気を遣うはずだ。

とすれば体が食べ物を欲していない、反対に嫌がっていると考えることもできる。これもひとつの防衛反応、体調を整えるための自然治癒力と言えるだろう。

無理に食べると、例えば体が弱っている中で、さらに消化のために内臓が稼働させられることにもなり得る。体に入った悪いものや冷えを取り除くために働かなくてはいけない各器官が、食べた物の消化に作業が分配されてしまうことになれば、さらに体調回復が遅れるとも考えられる。

実際に風邪をひくなどしているときは、消化も遅く食欲もあまりないことが多いので、その場合には「あえて食べないこと」が回復を促進することになるということだ。(正確には回復の邪魔をしないという表現が適当かもしれない)

普段から断食を取り入れる

そもそも病気や原因の定まらない不調といったものは、菌やウイルスなどが侵入するだけのことではない。タンパクや脂肪など栄養の取り過ぎが原因の場合も、じつは多い。

また精製された糖分の強いもの(白米、小麦、砂糖など)を体内に入れることも、器官が異状となる原因の一つだ。

栄養を取ることでかえって体が悪くなるというのは、現代医学(主に西洋医学)では考えない。

実際は過食によって様々な病気や不調を引き起こしている現実があるが、私たちの日常ではとにかく体力をつけるために食べることが大切だということが浸透している。

ということは、食べないことがみなぎる体力をつくる方法の一つであると言えないだろうか。食べることが必ずしも体力増進や肉体づくりにプラスとならない場合があると、私たちは考えるべきだ。

体の調子がどうもイマイチだなと思うとき、どうぞ一度断食をしてみることをお勧めする。

それは僧侶の修行のように何週間、何ヶ月とするわけではなく、たった数日で良い。丸一日でも良いので水以外のものを口にしない生活をしてみよう。

もちろんその場合は、体力を大きく消耗する運動や力仕事を積極的にはできないだろう。タイミングは必要かもしれないが、現代人は日常から食事が過食で体内の器官に負担を掛けているので、ときおり休めてあげることで弱った内臓や免疫力を回復させることができる。

私がお進めるのは、その日の夜からスタートして翌日の晩ご飯まで、これが初心者がおこないやすいパターンだと思う。次の日の食事を再開する朝は、塩を入れたお茶、人参やリンゴなど野菜類をすり下ろしたものなど、飲み物のかたちで少量取ると良い。

これだけでも、ほぼ丸二日間を断食したことになる。慣れない人が取り入れるには充分な幅だと思う。

過ぎを知ること

昨今、断食というものが少し巷の話題に出てくるようになった。健康に関する書籍で題材になり、TVで取り上げられ、それを勧める医者と反対する医者がいる。

アスリートや俳優などが、自身の断食の経験をSNSで発信している。武芸を極める人たちは、自分の体のことをよく理解しているということだろう。そこから私たちが学べることはないだろうか。

アスリートも食べない体力づくりが必要かもしれない。とくにサプリメントなどを摂り過ぎている選手は、日常的に過食の状態がある。プロテインやビタミンなどを10種類ほど摂取し、腎臓を壊したNBA選手も過去にいた。

本当は過食というよりも、不必要に食べていることが一番の問題である。食べるべきもの、食べた方が良いものを正しく見極められている選手は伸びる。

ときに行き過ぎや不必要を見直し、体の中を休めるために断食をすることも、そういう人だからこそできる。

あなたにもぜひお勧めする。

風邪は自分自身の日頃の行いが表現されたものと考え、今後は用心できるようぜひ失敗を活かしてもらいたい。

これからも「食べる體づくり」について、ときおり書いてみたいと思う。

(了)

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