【梅原トレーナーのからだづくり哲学】トレーニングレポート No.33

スキルアップ チーム作り トレーニング 指導法 指導者 梅原淳 育成法

体力づくりの一端に、重量物を扱うウエイト・トレーニングがあります。スクワット、デッド・リフト、ベンチ・プレスなど、幾分聞いたことがあるかと思います。

基礎的な動作の習得や筋力向上のために、また昨今では體を大きく作り上げるビルディングのためにもウエイト・トレーニングが取り入れられています。

私が日本の子どもたちに指導する中にも、これが中心的なものとしてあります。今は少しずつ手段・方法が変わってきているものの、それでもまだ比重は大きいと言えるでしょう。

正しく行うことができれば、競技において確実に大きな力となってくれるものです。基本的な導入くらいは高校あたりから始めても決して悪くありません。実際に日本の高校男子においては、今多くの競技で積極的に取り組まれています。

あなたがもし男性ならば、中高大学のあたりにきっと何かしらの筋力トレーニングはしていたのではないでしょうか。男にとって肉体的な強化というのは、どこか本能のようなものがあります。

ではこれを女子チーム、女子選手で導入する際にもすんなりいくかというと、決してそうではありません。根本的に肉体への強い負荷を、多くの女子アスリートとくにジュニア期の女性は苦手とします。

部活動とは言っても、志を高く持っている人や競技レベルの高い人はほんの一握りであって、ほとんどは程々にスポーツを楽しんでいるごく普通の女の子たちです。女子にウエイト・トレーニングを導入することは、なかなかに至難の業なのです。

今回はそんな視点で考えるトレーニング・レポートになります。

▼ようやくにして踏み出せた大きな一歩

2019年2月末、群馬県の高校女子バスケットボール部を訪問しました。

今日からいよいよ本格的にウエイト・トレーニングが始まります。顧問の先生からは開口一番「いよいよですね。ようやくここに辿り着けた」と言われました。ある意味で安堵の気持ちが言葉となって表れていました。

周囲のチームそれから全国大会に出るようなチームでも、頑張っているチームはみんなやっているから己のチームもいつかはできるようにしたい。そんな思いが監督さんにはあったのだと思います。

実際に数年掛けて少しずつ大会の成績も上がってきて、ここから先はもっと體が強くならないと絶対に勝てないという実感をチーム皆が持っています。體が弱い分、接触のある場面ではどうしても負けてしまい、そこが上位に行くほど直接敗因に繋がってしまいます。

私が強化のお手伝いを始めたのが4,5年ほど前。そこからようやくにして踏み出せた大切な日になりました。

▼バーベルへの抵抗感

私が来るのはいつもの事なのに生徒は不安と緊張、トレーニング・ルームへ入るとはじめはやはり重く暗い空気感がありました。もちろん楽しみにしていた人もいると思います。とくに気にしていない人もいるでしょう。

でも初めての事、初めて入る部屋、それに嫌な空気というのは伝播します。開始早々からなんとも言えない拒絶反応の風が吹きました。

「あぁ・・・やっぱりまたこれか・・・・」

私は数年前にも同じ場所で同じ経験をしました。

このチームに通い始めた頃、関節の可動域トレーニングと一緒にウエイト・トレーニングも教えていました。道具は少ないものの専用の部屋があったので、当然他校と同様にプログラムに入れていきました。

しかし何度かおこなった結果として、どうも当時の選手たちにはマッチしなかったため、監督さんと話し合って別の取り組みで育てていく方法に切り替えたのです。

それ以来、割り切って新しい取り組み方法で頑張ることにして、トレーニング・ルームは一切使わなくなりました。

そんな経緯があって、数年越しの満を持した導入と相成ったわけですが、今回も当時と全く同じ空気が漂ってきたのです。

▼もはや昔のチームではない

しかし今回は引き下がるわけにいきません。ここまでこぎ着けた監督の努力、そして私の責任として、もう前へ進むしか道はないのです。

生身の人間同士のやり取りですから配慮はしつつ、ここは思いきって先導すべきだと決意して、選り好みをせず真剣に取り組むよう選手たちに気を張らせました。

そもそも以前と違い、もう気分で勝手をするような選手たちではありません。強化当初はまだまだチーム全体が幼くて、周囲の誘惑や雑音に振り回される日々のなかで苦しみながら活動していました。

そこから監督が汗を掻いて少しずつ足を固めていき、バスケットボールも生活もどちらも力をつけていって今の選手たちの代があります。心情的には「どれだけ辛いんだろうか、やりたくないな」という思いがあったとしても、そこは自分で振り解いて走り出せる心の強さを持っていると思います。

それを信じて、私はコーチとしての役割を果たすことにのみ集中しました。

少し長くなってしまったので続きはまた次号で。

 

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