【梅原トレーナーのからだづくり哲学】緊急提言!「高校リーグ戦問題」を考える その3

スキルアップ 梅原 淳


私は9月のある日、JBAでジュニア世代の事業を担当する部署にいる人間と会った。個人的にではなく、何人かで集まった会合でたまたま居合わせただけだ。

正直に申せば、リーグ戦構想についてJBAは綿密な事業計画を持っていない(まだ、と言っておこう)。その人物がそのように明言したものではないが、内容やそのときの話しぶり、表情などから、それが私にははっきりと伝わってきた。

さらに言おう、完全に手探りで物事を進めている。テーマをつくり、ひとまず各所に投げてみて、その反応を見ているように感じられる。そうして周囲の動向をうかがいながら、出た目でその先どうするかを考えるような、場当たり的な歩き方をしている。

▼すべてが無駄になる衝撃の事実

このリーグ戦は当初、日本の高校サッカーのケースを参考にしていると伝わってきた。

リーグ戦を行って県内で一位を決め、ブロック大会で一位を決め、東西で一位を決め、最後に日本一を決めるというような計画だと、私の耳にもそう入っていた。それをつくるとなると一大事業だ。

その前身として、まずは県内でリーグ編成をして大会をつくるのだと聞いていたのだが、今年ある地方協会の役員から、そういうものが全てうやむやになり、今はリーグ戦すらもただの「努力目標」になっていると聞いた。

▼さらに一番の衝撃

このリーグ戦構想について、私は現場のコーチらから「県内の全チームをグループに分けて、その中で総当たり戦をする」という方式を聞いている。

先陣を切った都道府県では実際にそのように実施され、またこれからの県においても、その案で作業を進めている。

しかし前出のジュニア事業の担当者は言う。

「大学のようなリーグ戦をつくることは想定していなかった」

これも本人の言葉どおりではなく、私の要約である。本人が何を言ったかは申し上げられない。

現場では皆一様に新しいリーグ戦を作ろうとしている。各都道府県バスケットボール協会の代表者がJBAの会議で東京へ集まり、皆が同じ話を聞いているはずだから、その内容に間違いはないはずだ。

会議に参加した大勢の方々が、同じようにして聞き間違うということはあり得ない。

もし話が食い違っていると言うのならば、それはJBAが誤って聞こえるような説明をしたという他はない。

こんなに全国で苦しんで段取りをしていることが「話が違う」など、現場が聞いたらまさに憤慨ものだ。

▼とにかくリーグを始めろ

JBAの会議に出席する地方協会のある代表者は、このような趣旨のことを話してくれた。

「先のJBA会議において、完全実施されたときにリーグに参加していないチームは、その後に加入しても一番下のリーグからになる、と言われた。さらに、このリーグ戦は後々にウィンターカップの予選にするかもしれないとも言われた。そのようなことを匂わされたから、県内のトップチームは皆、ウィンターに出られなくなるとまずいと考え、当初からリーグに参加している」

実際にJBAでもそのプランはあるようだ。この話も前出のジュニア部署の人間が少し話していた。

しかし確実にそう決めたものではなく、あくまで「頭の中で思い描いているものの中の一つ」と言った様子であった。

そもそも最初はサッカーのプレミアリーグのようなものを意識させ、そう思えばウィンターカップの予選に充当させる可能性を言い、ついには今始まったような大学もどきのリーグ戦は想定していない、とくる。

一体ここまで現場を動かしておいて、会議で何を説明し指示したのだろうか。具体性と計画性のない安易な希望や青写真だけで、どうやって日本のバスケットボールを統轄する責任を果たすつもりか。

完成形までの計画ができていないのに、とりあえずリーグ戦は始めてください、はないだろう。

▼本当の話の発端

さあいよいよ問題が難しくなってきた、そう思うだろうか。いや違う。自分たちから事を難しくしているだけで、原点に還れば本当はシンプルである。

元々は、というか本筋は、日本のレベルを上げるために、実力の近いもの同士で試合を組んで力をつけていくことが一点、もう一つには成績の高低に関わらず、全てのチームにおいて一定の試合数を確保し、機会を平等に与えるという趣旨の取り組みである。

高校生の公式戦はすべてトーナメント戦であるから、すべて一回戦負けとなったチームは年間に2,3試合しかできない。県内独自の非公式の大会があったとしても、今のままでは絶対的に試合数が足らない。

それを是正するために、まずは統轄する日本バスケットボール協会として、年間登録料を皆が同様に払っていることを考慮し、試合数の少なさを改善する手立てとしてトーナメントだけではなく総当たり戦を一部導入する案を出したのだ。

これがそもそもの出発点であった。

それを正確に理解し、良いシステムを考えた県がある。それを次号にお伝えする。

当初に3までと書いたが、さらに4まで伸ばします。

(了)

 

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