WINTER CUP 2021での快挙の裏付け(下)☆速報レポート【梅原トレーナーのからだづくり哲学】
前回にも書きましたが、筋トレをしているのにコンタクトできない選手や、ひたすら走り込みをしてもラリーに弱いチーム、足腰を鍛えているのによく転ぶ選手もいます。
WINTER CUP 2021での快挙の裏付け(上)梅原トレーナーの速報レポート☆ WINTER CUP 2021での快挙の裏付け(中)梅原トレーナーの速報レポート☆
その力があっても実行しようとしなければなにも起こりませんし、自分がその程度だと決めつけていればそのとおりにからだは表現します。
自らが能力をコントロールしていることに、伸びている人も伸びていない人も自覚はおそらくありません。
でも現実には脳が目標値を変え、そこに辿り着こうとからだが反応していて、本人も深くは考えていないけれども徐々にできることが増えていきます。
目に見えて数字が伸びていくのは、目標値が変わっているからです。
たとえば垂直跳びが80cm、81cm、82cmと上がっていくのは、その記録へ届かせようという働きかけがあるからです。数字はもっとも目標にしやすいものです。
この連載のはじめに書いたジャンプで触る場所を変えていくということも、数字とは違いますが明確な目標の変化があります。達成したら次は新しい目標に向かって進む努力が始まるのです。
これをバスケットボールのプレイにおいて応用しているのが、不肖私の考える動きづくりのトレーニングです。
3年掛かって最後の最後に
このシリーズの例に挙げた全国ベスト8のチームは、つねに固定した脳のメカニズムと格闘しています。ここまでくると、そう簡単に壊せるものではありません。
でも実際に全国常連のチームや選手でも目覚ましく上達している例はたくさんあるのですから、我々にも絶対にできると信じ決して諦めることはありません。
できなくても、またいつものように負けてしまっても、掴み取るまで尽くすのみです。そのひとつの成果が、この大会で生まれたということです。
このあとの新チームでは、また新たな山を登ることになるでしょう。険しい道のりに違いありません。皆、覚悟の上です。
そういった見えない悪戦苦闘のなかで、脳の縛りを脱することができました。
脳を変える
きっと能力、技量ではバスケットボールエリート校にも引けを取らないはずです。しかし実際に勝負のときにそれが出なければどうしようもありません。
ただ私たちは、それを単に努力不足と断じたりはしませんでしたし、才能の差や能力の限界とも、まるで考えていませんでした。
もしそのようにありがちな思い込みをしていたなら、きっとそのまま萎んでいったはずです。淡い期待や楽観主義などではなくて、精一杯に頑張っているからこそ深く思考し模索してチャレンジしています。
どうぞ読者のあなたにおかれても、すべて辛く練習することや強度を上げることに頼らず、脳を変えプレイ・スケールを広げる訓練をはじめてください。
高く上げていると思っている腕が、本当は小さくて肘が曲がっているかもしれません。パスミートする位置とタイミングがいつも同じで、球回しのスケールが決まっているかもしれません。
強さやスピード、そういったものを最大限に活かすためには動く範囲(レンジ)を変える必要があります。
レンジを広げてバスケットボールのスケールを変えましょう。本当に能力の最大でプレイするスケールは、いまよりもっともっと大きい可能性があります。
そこに気がつくことができたなら、あなたのプレイはグッと伸びることでしょう。おだててなんかいません、本当のことを言っているだけです。
脳が変わればすべてが変わります。
これからもチャレンジしてください。心から、全力で応援しています。
(了)
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