スペインピック&ロールへの合わせ~チェコ代表のゲームより~

オフェンス スキルアップ 動画 戦術 片岡 秀一

女子アジア選手権で日本代表チームが5連覇を達成しました。
同チームは、「夢を与えるチームになること」を活動の目的とし、目標をアジアカップでの5連覇と位置付けていました。

ここでの「夢を与える」の言葉は『自分もやってみよう、やってみたい』というエネルギーをプレゼントすること。バスケのプレーだけに限らず、生き方や、姿勢を、自分の生き方の中にも取り込んでみたいと思えるようなエネルギーを与える』ことと紹介されています。
それを体現すべく、コート上の選手がシンクロしたオフェンスを目指されていたようです。

そんな中で、コート上のオフェンス戦術では、一つのアクセントとして、『スペインピック&ロール』を採用していました。

大会の中盤以降は、各チームのスカウティング等の影響もあってか、大会の山場の一つでもあった韓国戦でも得点に繋がりました。

上記を踏まえ、チェコ男子代表チームのオフェンスからスペインピック&ロールの攻防に着目してみたいと思います。

次回以降の記事では、日本女子代表チームのスペインピック&ロールという題材を扱うことも予定しています。

(Denmark v Czech Republic – Full Game – FIBA Eurobasket Qualifiers 2022)

1.プレーの構図

スペインピック&ロールの合わせ1 スペインピック&ロールの合わせ2

2.プレーの流れ

チェコ代表のスペインピック&ロールに対し、最初のスクリナーのディフェンスがスイッチで対抗します。
なので、元々のボールマンのディフェンスは、スクリナーのディフェンスにマークします。
必然的にサイズのミスマッチになる為、必死にバンプし、対抗しています。(映像は、この場面からの切り取りになります)

上記のような攻防がある為、最後尾よりスクリナーのディフェンス(X5)にスクリーンを狙った選手(図にて2番の選手)は、そのままトップの位置へ移動します。
マークマンも入れ替わっていません。

ボールを保持するチェコ代表の選手にとっては、アウトサイドvsインサイドの攻防です。
スピードの優位性を活用して、ゴールに迫ります。しかし、抜ききれませんでした。
また、ゴール近郊でステップインを狙うも、シュートには至りませんでした。

しかし、粘り強くピボットを続けゴール下で攻防を継続している際、パスコースが出来ました。
トップのディフェンスが目線を切った瞬間に、2がゴール下に飛び込みます。ギリギリのタイミングでパスを通し、ゴール下での2点へと繋がりました。

3、まとめ

最初のスクリーンでスイッチをしたこともあり、各選手が有利・不利を自覚し不利な部分を即座に埋めようと奮闘しています。
X1が5に対して、即座に切り替えて必死にバンプをし、インサイドに押し込まれまいと奮闘しています。

続いて、最後の合わせの部分の考察をします。

もしここで、ドリブルをする選手が安易にランニングステップを踏んでいた場合、このようなプレーには繋がっていないでしょう。

このような場面で軽いプレーをし、シュートのチャンスおよびフリースローになるファールをもらうチャンスを逸しているケースも少なくありません。

  • トップのX2が目線を切っていたこと
  • 一瞬のスキを狙って飛び込んだこと

に加えて、ボールを持つ1が粘り強いステップインというプレーをリング下で選択したからこそゴール下のシュートに繋がりました。

ここでパスが繋がらないケースもあるかもしれません。
5秒バイオレーションやラインクロスにもなってしまったかもしれません。
それでも相手チームの逆速攻には繋がらず、ディフェンスから仕切り直しをする事が可能です。

もちろん、様々なステップを使い分けや強引だとしてもシュートを放つことを優先する戦術もあるでしょう。

いずれにしても、ペイントエリアの攻防やステップの判断は、ゲームの局面を左右する非常に重要なプレーになるわけですから、選手にチームとしての方針を明確に提示すべき重要な項目といえるはずです。

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この記事を書いた人片岡秀一片岡 秀一
株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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