【梅原トレーナーのからだづくり哲学】食べ物の好き嫌いはいくらあっても良い(中)
スキルアップ トレーニング メンタル(心) 梅原 淳 育成法
食べることは生き物の生命線だ。どんな生物も栄養分を取り込まずに生きてはいられない。草木だって根から地中の水分養分を吸い上げて伸びる。
人間は自ら農作物をつくり、家畜を育て、漁をして生きるための糧を収穫する。地域によって収穫できるものがそれぞれにあり、日本国内でも日々食べている物は違っている。
これを現代、世にあるものをできるだけ多く食べようとなぜか思ってしまうのが、好き嫌いを無くそうとすることの根っこにある。
物流が信じられないほど発達し、インターネットを使ってすべての情報を簡単に知ることができるようになったから、私たちは全国どこの名産品でも知ることができ、また手にいれることができる。
これは世界という規模で見ても同じだ。本来日本食にはない料理を、いまは手軽に食べることができる。
パスタやピザやカレーや焼肉やグラタンなど、今はもう日本人にも馴染みすぎて海外の郷土料理だとは皆思っていない。それくらい一般家庭や給食などでも出されている。
交流が盛んになって遠くの地域と繋がった現代、食材の数・料理の数は数え切れないほど増えている。
それらをすべて食べることが、好き嫌いをしないという事を指すのだとすれば、そんな無謀なことは断じて要らない。
どうぞ好き嫌いをして自分の食べやすい物だけを食べてください。
▼必要なものを知る
私事で恐縮だが、うちの息子は人参と大根をよく食べる。きっと好きだろうと思う。
1歳になって最近は味噌汁に入ったもの限定になったが、とにかく人参大根は食べる。味噌汁に入っていれば、玉葱や牛蒡も問題ない。
それ以外の野菜はほぼ食べない。
たとえばこれら4つの野菜くらいしかない時代があったとして、比べて現代は何十種類の世界を含めた野菜がスーパーで売られているが、昔よりも現代人のほうが摂る野菜が多い分、体力は強いのか。
いま4つの野菜くらいしか食べない息子はすこぶる元気だ。早生まれだが一年近く前に生まれた子らと体格は変わらない。越していることもある。順調に大きくなっている。
私たちが身体を育むために、人参と大根だけでは足らないのだろうか。
米だけでは不足していて、パスタもピザもサンドイッチも食べなくてはいけないというのならそうすべきだ。米だけを食べている人が病気がちなら。
息子は柑橘類の果物が大好きで、過去にリンゴとキウイと梨は食べさせようとしても吐き出してしまった。出しても食べないので今は買わない。
果物全部食べないと、健康になれませんか?
もしちゃんと必要なものを知れば、それがいくつかで事足りるということが解るはずだ。
だからほんの少しだけ勉強してみてほしい。パソコンでもスマホでも誰でも簡単に調べられる素晴らしい時代になったのだから。
▼できないものよりできるものを見てあげる
それを知れば、人参と大根と玉葱と牛蒡しか食べていなくても、パスタやパンは食べなくても、牛乳など飲まなくても、ちゃんと健康でいられると納得してもらえるのでないかと思う。
もちろん食べる物がさらに増えれば良いとは思う。ただ少なからずそのいくつかだけはいま好んで食べられているのだから、それで充分だと思う。
ゼロならば大変だが、たとえば野菜というジャンルの中で4つは食べるのだから、5つ6つと増えていく可能性は高いし、万が一増えなくとも今だけで充分ビタミンやミネラルは摂れている。食物繊維も摂れている。
さらにそれらは野菜以外の食材からも摂取することができるのだから、総合して食事を考えることでまったく問題ない。米に古代米や雑穀を混ぜることで、それは解決できたりする。
▼すべてを今できなくて良い
もう一つ、あなたの不安を取り除くためにお伝えしたい。
もし今あなたが子育て中で、子の好き嫌いに悩んでいる、心配しているということであれば、ぜひ聞いてほしい。
一度に全部をできるようにしようとしていませんか?
いまピーマンが食べられなくても、年齢を重ねればいつか食べるようになるかもしれない。3歳で食べられなくても、小学校に入ったら食べるようになるかもしれない。
自分の体験を振り返ってみてほしい。以前は吐き出すくらい生理的に嫌いであったものが、あるときふと口に入れたら食べられたということがないだろうか。
反対に昔は大好きな味だったが、大人になり久しぶりに食べてみるとその感動は無く、美味しいとも思わなくなっていたということも、ないか。
人の味覚は変わる。気分も変わるし、印象も変わる。どんどん変わるのだから、単にいまは食べないだけかも知れない。
それを好き嫌いだと言って無理にでも食べさせようと試行錯誤するのは、きっと楽しくない。心が前向きではなく苦しいと思う。苦しくなるようなことを意固地に頑張る必要はない。自分にも子にも良いことがない。
だからいま全部を食べられるようになんて、不毛はやめよう。なにか一つだけでも食べられるのなら、二重丸である。
それを毎食出してあげたら喜んで食べるだろう。それを見ているあなたも幸せになれる。
食事はいつも同じで構わない。
(次号につづく)
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