【梅原トレーナーのからだづくり哲学】風邪は治すではなくひかせないのが真のアスリート その2
体温を上げることで體は強化されて体調は整う、それがまず基本となる体調管理の鉄則であると、前回にお話しした。
體をあたためることで免疫機能が働き、器官も力強く活動してくれて力漲る(ちからみなぎる)生活を送ることができる。
疲労や不摂生が溜まり体調を崩しかけても、その初期段階でもう一度しっかりと體をあたためて不調の原因である冷えを取り除けば、本格的な病にはならずに済むという助言を申し上げた。
▼冷えの原因
原因を探ると言うことは大切である。二度と同じことをしないために、そうなってしまった因子を一掃する。それくらいの心掛けがとくにアスリートには必要だろう。
あたためる必要があるということは、冷えてしまった状況があるということだ。自分の生活の一体なにが、冷えを生んだのか。それは専門的、学問的な話などでは一切なく、日々を顧みて見当をつけてみればよい。
私が子どもたちを見ていて、あんなに毎日活発に走り回って、筋力づくりも行い、體には常に熱を帯びているはずなのに冷えて風邪をひく、免疫力を落とすのは不思議でしかたない。
よっぽどにそれを上回る不用心があるのだろうと思う。いや誰でもそう推測するだろう。
それを踏まえた上で選手たちを観察していると、いくつかのことが見えてくる。無論、直接聞いて確かめたりもした。
▼ドリンクの飲み過ぎ
第一に、ドリンクを飲み過ぎているかもしれないということがある。不足した水分を摂取するためにドリンクを飲んでいるのだが、同時に體を冷やしていることにもなる。
選手たちは辛い練習の中で、ごくごくと多量のドリンクを飲む。きっとそれは幼い頃から同じだろうと思う。たった今の部活動で飲み始めたわけではなく、例えば小学生からクラブチームでバスケットボールをしていれば、その頃からの習慣のはずだ。
さらに運動をしているときに限った飲み方かというと、どうだろうか。これはご家族ならばよくお分かりだろう。
習慣になっているから、友達と外で遊んでいるときや、家でゲームをするときでも同じように、冷蔵庫を開けて勢いよくお茶やジュースなどを飲んでいないだろうか。
つまり生活習慣として水分過多である可能性があるということだ。それは慢性的な冷えをつくってしまう。
必要な分でとどめることは、子どもには難しい。なにせ大人でもできないのだから。風邪をひきやすい人は、この点をまず気にしてみよう。もしかしたら少し節制すれば改善が見られるかもしれない。
▼ドリンクが冷たすぎる
もうひとつ、高校の部活動を見ているとスクイズ・ボトルに多量の氷を詰め込んでいる光景を目にする。
マネージャーや下級生が、体育準備室にある製氷機に詰めかけて、部によってはクーラーボックスまで持参してくる。
夏の暑い日に冷たいものを飲みたいのは分かる。気温が高いから悪くなってしまうかもしれない、それも注意する必要がある。より冷たい方が体内への吸収が早いのも事実だ。
ただ冷たすぎるために胃腸はダイレクトに冷えてしまい、活動が弱まってしまう可能性も高い。とくに腸の活動には気を遣いたい。免疫機能の大部分を担っているからだ。
私は真夏であってもあまり冷たいドリンクは飲まないように、水温を調節することを勧めている。必要な冷たさ、必要なあたたかさ、その両面をうまく融合させて自分に適した水温をつくろう。
▼過度なエアコンへの依存
子どもたちに限らず、大人も同様に、夏のクーラーへの依存は悩ましい問題だ。
今学校では、教室にもエアコンを設置して授業をおこなっている。これから設置する自治体もあり、とくに暑い地域では近いうちに小中高大すべてにおいて実施されるだろう。
これを一元管理している学校もあるが、教室毎に調節できる学校もある。そのようなところでは、一部の生徒が勝手に設定温度を20度くらいにしていることがあるそうだ。
聞くと運動部の男子生徒だと言うが、そのせいで真夏に長袖のセーターを着なくてはいけない生徒もいる。夏に寒くて風邪をひくなど、笑えない話である。
運動部の男子はそんなに低い温度でければ、暑くて體がおかしくなってしまうのだろうか。もちろんそんなわけはない。だいたい普段から体育館やグラウンド、格技場で大汗掻いて練習している肉体派の男どもである。少々の暑さなど平気である。
しかし楽になれると思うと、過度にそういった行為に走ってしまうのは反動であり、想像に難しくない。それが習慣になって、知らずに冷やしすぎてしまっている可能性が多いに考えられる。
本来は涼もうとするものを、冷蔵庫のように冷やしていることに気がつこう。エアコンの活用は、自制を働かせて必要量を決めなくては危ない。
これも「過ぎ」が起こす見えない不摂生と言える。
次号に続けたい。
(了)
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