腕立て伏せで得るコーディネーション【梅原トレーナーのからだづくり哲学】トレーニングレポート No.61

「腕立て伏せで得るコーディネーション」

以前に腕立て伏せについて書いたことがあります。

腕立て伏せは運動の基本を捉えた諸要素の詰まった動作であり、腕の力でおこなうトレーニングのように見えてじつは全身を鍛えている、という趣旨でお話したと記憶しています。

體というものは全体でひとつです。数多の骨、関節、筋、腱で繋がっており、一部位ごとに関係なくバラバラには作用しません。

わかりやすく言うと、體を使うときにはうまくそれらを協調させ合ってひとつのまとまった動作をつくることが、私たちの動きづくりすなわち身体操作なのです。

安定した滑らかな力の流れは、體全体をまとめる技量によって生まれます。

バスケットボールにおける技術も、すべてはこの體の使い方の滑らかさで熟していきます。

パス、ドリブル、シュートの様々なレパートリー、走る動作から跳ぶ動作への変化、ダッシュとストップ、マークマンを振り切る足のステップ･ワークなど、それらは偏った體のどこか一部だけの力でおこなっているものではありません。

足を動かしているときに、お腹の位置はどこにあるか（ボディ･バランス）、シュートの際にジャンプの動きはスムーズに腕の動きに加わっているか、常に全身がひとつの動作に絡んでいます。

私の教えている腕立て伏せも、腕の動きや筋力を最大限に発揮するために、肩甲骨と背中、腰と脚が使われています。

體は繋がっているんだ、力は全身を流れているんだということを体感できる運動動作です。

主に腰から下半身にかけての動きや姿勢が必要となりますが、この感覚が掴めると、プレイ中のパスそれからシュートにおいて下半身の力をボールへ伝えることができるようになるでしょう。

よく手投げなどと言ったりしますね。腕にだけ意識があり、その他の胴体や脚はまるで姿勢が悪く踏ん張りも利いていないために、ボールを強く投げられないことを表現したものです。

バスケットボールのパスでも、前への踏み込みと床への踏ん張りを使って下半身をどっしりと安定させることで、上半身とくに腕を強くスムーズに使えるということがあります。

言い方を変えると、腕を上手く使える理由は腕自体の技量ではなく、腕に繋がった肩甲骨や背中さらには下半身の動作から影響したものであるということです。

脚が強いから腕が使える、胴体（体幹）が強いから腕がよく動く、そういうことが私たちの體では頻繁に起きているのです。

それらを勉強するために、腕立て伏せはとても有意義なトレーニングです。

今回はこれまで見せていない、さらにハイレベルな腕立て伏せを撮りました。しかも女子選手です。特別に2つ出しちゃいましょう。

手の下にボールを置くと不安定で震えます。それをさせない、もしくは震えても背中や足腰のバランスをキープできる技量が試されます。全身が協力し合ってひとつのまとまった動作を表現しています。

見よう見まねで、ぜひトライしてみてください。力の流れ方や全身への分布を感じられると思いますよ。

動画3658

動画3659

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