【片岡編集長のレポート】on ball screen(選手に示す基準を明確に)

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前回に引き続き、on ball Screenに対してDropとChaseを絡めたDF戦術について取り扱います。

今回のメインテーマは『“what you teach,what you demand,what you accept” 選手に示す基準を明確にする』というキーワード。

DF戦術の動きではなく、コーチが選手に明確な優先順位を示す事の重要性を表現できれば幸いです。

<プレー解説>

・最初のスクリーンに対し、日本はアンダーで対応します。シュートレンジよりも遠い為に、ドライブでの突破を防ぐことを優先した守り方です。

・その後、リピックと呼ばれる2回目のon ball screenで日本のDFを手玉に取ろうとしてきます。結果、富樫選手はスクリーンの影響を受け、ドリブラーはインサイドエリアへの侵入します。

・日本は、ここでもファジーカス選手はDrop、富樫選手はChase(ファイトオーバーで追いかける)をしてボールマンを守ろうとします。その後、相手チームが絶妙な判断を見せ、富樫選手が追いかけるスペースを潰し、十分な判断の末にシュートを放って成功させます。

 

◇“what you teach,what you demand,what you accept” 選手に示す基準を明確にする

この場面、日本代表としてはシュートを決められました。しかし、自チームのDF戦術を遂行した上での失点であったように感じます。

個人的な見解では、このよう場面で最も避けたいのは、優先順位が不明瞭である事です。この場面、動画では、相手チームのスクリナーがアウトサイドにPopしている場面があります。

ファジーカス選手も、富樫選手も、Popする選手の姿が視界に入っているはずですが、ボールマンへのDFの圧を強める事にフォーカスしています。

Popに対しては、馬場選手が反応をする準備や素振りを見せています。ここで優先順位が明瞭ではない場合にDF側でトラブルが発生します。

例えば、本来はChaseをする事がルールであるのに富樫選手がPopの選手へマークへ向かってしまう事が、DFルールが曖昧なチームで起こりえます。

インサイドのファジーカス選手がドリブラーを守ってくれると判断した場合に起こりうるプレーです。

同時に、また、ファジーカス選手のポジションでも、相手のドリブラーが緩急を使ってファイクをしている際に、Popアウトをしている選手へのマークへと向かってしまい、ゴールへの花道を明け渡してしまうケースがあります。

これは、富樫選手がChaseをし、ボールマンのドライブを守ってくれると判断した際に起こりうるケースです。

上記、2つの「勘違い」が発生した際に、ゴール下でのノーマークのショットが起こりえます。

DF戦術をチームに導入する際、コーチとしても留意すべき点であると感じています。

ここで重要になるのが、今回のテーマである「“what you teach,what you demand,what you accept” 選手に示す基準を明確にする」です。

日本代表チームは、このようなケースでの優先順位や、選手に要求する項目を明確にされているのでしょう。

また、ファジーカス選手の特徴を活かすためにも、普段の練習でもアウトサイド陣はChase(ファイトオーバー)をして守る練習を徹底的に行っているのではないかと思います。

ファジーカス選手には、Show Hardや、Switchでアウトサイド選手をシャットダウンする事を要求しない代わりに、絶妙な間合いでDropをして守る事、ドリブラーがドライブした際のフィニッシュを守る事にフォーカスしているのではないかと思います。

「“what you teach,what you demand,what you accept” 選手に示す基準を明確にする」という言葉は、富山グラウジーズのHCを務めるベックHCがトヨタ自動車アルバルクを指導している際に、コーチ向けのクリニックで強調していたキーワードとなります。

チーム戦術を強調する際には、基準、優先順位を明瞭にする事、及び、普段の練習の中で、チーム戦術を遂行する上で大切な事を項目に焦点を当てて練習する事を重視されていました。

例えば、当時のトヨタ自動車アルバルクは、外国籍選手も比較的オールラウンドに動ける選手を積極的に採用するケースが多かったです。

インサイドの選手にも、トランジションDF、ローテーションでアウトサイド対インサイドのマッチアップになったとする。それでも、「サイドステップ2歩」にトライをして守ろうとする事を要求していたといいます。

守る事を諦めて、手から止めようとしたり、スティールばかり狙ったりすることをコーチとしては許さないという基準を明確にされていたと言います。

同時に、毎回の練習では、チームファンダメンタルとして2歩のサイドステップの練習もドリルとして取り組んでいたと言います。

こうする事で、選手にもチームが求める「基準」が明確になっていきます。「基準」や「HCの要求する事」は何もしなければ可視化できません。

様々なアプローチを通じ、「見える化」していく事がチーム戦術の遂行力を高める為にも、コーチには様々な工夫が要求されます。

 

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