【梅原トレーナーのからだづくり哲学】練習の始め方を考えてみる

トレーニング フィジカル(身体) マインド(脳) 梅原 淳 練習法

ある練習でこんなことがありました。

体育館へ着くと、選手たちは私の到着をすでに待っていて、すぐにウォームアップから入りました。

しかしその入りは重く、毎日おこなっている普段どおりの内容であるのに、なんだか息を切らせています。

いつも以上に気合いがのって力がこもっている・・・ようには見えません。

すでに汗だくの人も若干名いますが、全体的にはまだ足りていないようでしたので、今度はボールを使って汗を掻かせました。

トレーニングに入るときは、脳も心も体もスタンバイされていることが原則です。

すべてが練習モードになっていると、実りの大きい時間が生まれますし、進歩も早くまたしっかりと定着します。

オールコートで1対1を3分間、それでもまだ上がらず、今度はシュートのかたちでウォームアップしました。

あくまで心身のスタンバイが目的です。

そしてどうなったか?

想像していない疲れ方

およそ25〜30分かけて、選手らのスタンバイは良い出来には作られませんでした。

なぜか。

コーチが来るのを待っていたからです。

何もせず、ただ体育館で待ちぼうけをしてしまい、急に指示が飛んでも体は言うことを聞きません。

気のない状態でウォームアップすることになるので、その動きは冴えず、練習の運びもノロノロと鈍くなってしまうのです。

焦ってボールも手につかず、ドリブルをポロポロとファンブルしてしまうし、シュートも入りません。
自分の順番が来ても、グズグズとして段取りが悪くなります。

みんな、動いた内容とまるで相応しない異様な疲れ方を見せていました。

こうして生産的ではない練習が作られてしまうわけです。

脳が目覚めていないと体は動かないということを、みんなに体験してもらいました。

始め方が肝心

この入り方をしてしまうと、その日の練習は何時間経っても上がりません。

とくにからだづくりの時間は肉体を酷使することになりますから、これでは到底そんな負荷には耐えることができません。
確実に腑抜けたトレーニングになります。

あとから徐々に動きが冴えてくる、ということは無いのです。
それを経験的に熟知している読者もいることでしょう。

なんとなくウォームアップを始めてはいけないのです。

また、今回の例で「コーチの指示を待つ」という行為について注意喚起をしていることは、シンプルに解釈していただけると思います。

自分の体は自分にしか動かせません。
運動における良いパフォーマンスは唯一本人に生み出せるものですから、練習は主導的に行うのが絶対条件です。

そのためにこそ、練習の入りは必ず選手の意思で行い、計画したものにします。

迂闊に気を向けずフワッと入ってしまえば、最後までずっとそのままです。

もしあなたの練習がイマイチ冴えないとしたら、それは運動能力のようなことではなく、盲点は練習始めにあるかもしれません。

最高のレッスンのために

ちなみに私が教えている全国すべてのチームでは、コーチ(私や先生)の到着を気にせず、練習開始の準備をしたら自分たちで段取りを進めるようになっています。

それを「勝手なことをするな」と断じる人など、いるはずもありません。
脳にエンジンが掛かり、次いで体にもエンジンが掛かってスタンバイできたら、その日のレッスン開始です。

面白いくらい体が動いて良質な刺激が入りますから、生産的で時間の価値が最大になる素晴らしいトレーニングとなります。

(了)

この記事を書いた人梅原淳梅原 淳
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。
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