【梅原トレーナーのからだづくり哲学】持っている力を出せない選手たち(後編)
一時のパフォーマンスアップは誰でもできる。
しかし、それが本当の実力となるには日々の訓練が必要だ。ここで勝ち負けが分かれる。
コーチが発破を掛ければ、当然そのときだけ選手の運動量は上がるだろう。実際にそうしているチームも多い。
それが良い悪いという話ではなく、そのままだと延々と着火し続ける必要があるので、いずれ火がつきづらくなり、また火をつけ続ける側の体力も大きく消耗してしまう。
きつい言い方をするならば「その場しのぎ」でしかないのだ。
だからどれだけ練習しても、一旦は良くなっても、時が経てば元に戻ってしまう。
それを前回に問うた。
プレイをつくるのは「私」
人の本性は日常から作られていくので、その生活の様子がコートで顕れる。バスケットボール技術が高い(つまり運動能力が高い)と評価していても、勝負を決めるタフな場面では本来の自分が出る。
コーチが尻を叩いて頑張らせても、それに応じるのはそのときだけであり、檄を飛ばさなければ走ることはしない。
それを「良くなった」とするのは、誤った判断と言わざるを得ない。
事実を見通せておらず、コーチも選手も、人間の本性にまったく気づけていない。
ではなにを変えるべきか。
プレイ以外のところを見よ。
ふと一息ついたとき、水を飲んでいるとき、後ろに並んで順番待ちをしているとき、そういった場面で性格が出る。
何気ない仕草でそれがわかる。
さらに広げて見るならば、スポーツをしている以外の時間、授業中や休み時間など学校での過ごし方、そこがスポーツをしているときと同じ雰囲気や様子であるのか、それとも・・・。
日常にある行為行動に、働き者と怠け者を分ける根っこがある。
プレイをつくるのは技術ではなく「私」だからだ。
練習で上達しない場合もある
あるチームで、私が体育館に入ったときになんともだらしない様でグデ〜と床に寝そべっている選手たちの姿を見た。
これですべてを理解した。
隣コートでは他の部活がすでに練習を始めている。その横でうちの選手らは、ただ黙って皆が皆まるで日光浴でもしているような格好でいる。
このチームの本当の姿はどっちだろうか。
みっともなくコートに寝そべっているのは、リラックス効果を狙っての意図した行為?そんなわけがない。
わざと怠ける理由などないし、これが実際の姿なのである。
ここに練習の成果が先へ繋がらないことがリンクする。
練習や試合での様子は本当の成果や力が実ったものではなく、なんとか着火してもらってその場だけ燃えていられるだけのことで、コーチがいなければ火はすぐに消える。
つまり頑張っている姿のほうが演技ということになる。
ここに気づかないといけないし、メスを入れなければずっと横ばいのままだ。練習では変わることはない。
バスケットボールの練習の中では良くならないケースである。
目線を変えてみる
私たちはときに、目線を変えることも必要である。
コーチも選手も、である。
バスケットボールだけやっても、バスケットボールは良くならなかったりする。技術練習やトレーニングをしても、その成果がイマイチどころかまるで見えないなんてことも、わりと普通のことだ。
そこに理論や方法は助けにならない。伸びない理由がバスケットボール自体にないからだ。それなのに縛られ続けてヒントを探してしまう。
我が事を、末端よりもド真ん中で見てみよう。
胸に手を当てて考えてみるとは、そういう言葉ではなかろうか。
心で動く人間だからこそそれができる。ゆえに心が揺れるということでもある。まずは足下を照らしてみることだ。
(了)
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。
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