【梅原トレーナーのからだづくり哲学】 持っている力を出せない選手たち(前編)

スキルアップ 梅原 淳 育成法

持っている力を出せない、そんなことがあるのだろうか。

私はスポーツ現場において、実際にそれを目の当たりにしてきた。いや今もなお、それを見続けている。10年前も今も、人の行動形態は変わらない。

試合で勝つために、もっと上達するために、みんな日々努力している。それが思うように成果に結びつかないことがある。

成果とはもちろん、大会で勝ち上がることだ。

確実に勝てる程々の位置ではなくもう1歩上へ、順位をひっくり返して自分たちが勝つ、それが掲げた目標だと思う。

そう願って頑張っているのだが、イマイチ上がらない、伸びない。いくら練習をすれども翌日はまた元通り、何週間かは踏ん張ってもテスト休みを挟んだりするとリセットされてしまう、そのような経験が皆あるのではなかろうか。

具体的に取り組んでも、それが肝心な試合で発揮されない。練習試合をたくさんして、実践のなかでどれだけ修正し経験しようとも、そのプレイが表現されないのはどうしてなのか。

私はひとえに人間的な性格が影響すると思っている。

練習して伸びない人はいない

技術的に練習をいくら積んでも、それが実践で表れないことがある。

ではその繰り返した日々で力はついていないのだろうか?

まさか、そのようなことはあり得ない。

怠けるとかデタラメにやり過ごしていればそれは練習していないも同然だが、きちんとおこなっているのならばその強度に応じた上達は確実にある。

力はついているはずなのに、どうして試合でそれが出ないのか。

それは己の全力を知らないからだ。

本気の力を出したことがないため、自分がどれくらいのエネルギーを放出できるかを知らない。

自分では真面目に本気でプレイしているつもりで、実際は半分も出ていないかもしれない。もしくは気持ちを入れてプレイしているつもりでも、傍から見ればいかにもユルくしか見えないこともある。

これはその人の普段の生活スタイルが露呈しているのである。

習慣的行動

毎日の何気ない繰り返しにおいて、はじめは意図し意識してやっていることが後に習慣になる。

習慣とはいわゆる「行動のクセ」である。

習慣となり行動が無自覚に近くなると、はじめの意図意識が分からなくなって実際の様子と自分の思考が食い違っていく。

たとえば掃除をするとして、本当に隅々までキレイにしようと気を向けて汚れを落としている一所懸命な人は、それが頭の中で掃除の基準になっていく。

一方で、面倒だと思いながらとりあえず「それっぽく」だけで済ませている人がいたら、その程度が脳において「掃除」と認識される。

もしそのように雑におこなっていても、日課からは逃げることはなく毎日掃除していたなら、その人間にとっては「真面目に正しく掃除をしていた」となる。

本当は掃除という技術的、実践的な成果としては大きな差があるのに、どちらの人も自分では「ちゃんと掃除している」「一所懸命にやっている」と思い、こうして覆らない実力の差が生まれていくのだ。

人は習慣によって能力を決定している。

力が眠る原因

練習で一時的にパフォーマンスが上がっても、それはあくまで限定的であって、根幹にある「力を出す感覚」を変えないと本当の力にはならない。

たとえばコーチが頑張って引き上げている間はスピードや力強さがある程度良くなるだろうが、見守るだけになればすぐに元に戻る。

これは練習と試合の関係も同じで、練習ではときおり10の能力を発揮しても試合では以前のまま。人間は勝手が変われば本性が顕れるのである。

練習して伸びたと思っていても、それは一時のものかもしれない。ここを本当の実力にするためには、練習や試合そのものではない場所に目を向ける必要がある。

習慣的行動を変えるためだ。

練習の積み重ねで得た力が10として、それを分からずいつも通りの5でプレイしてしまう選手は割と多い。事実を言えば男性より女性に多く見られる。

その眠らせている残り5をどうやったら出せるかを考えなくてはいけない。

私たちの表現力は日頃のものからつくられる。

スポーツで出ない力を出せるようにするためには、行動を変えるしかない。

(次号つづく)

 

この記事を書いた人梅原淳梅原 淳
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。

 

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