【梅原トレーナーのからだづくり哲学】 コロナで様変わりした中学高校の部活(まとめ)
注:前編と後編の二部構成の予定で書いていましたが、前回の後編で字数が多くなってしまったため、最後の結びだけ「まとめ」として追加します。全部で「前編」「後編」「まとめ」の三部構成となります。
わずか2〜3年、しかしこの年月は国民の生活習慣を変えてしまうのに充分な時間となった。
皆はじめは困惑し窮屈を感じても、ある程度のところで適応する。それは人間としての高い順応力とも言える。
私たちは状況や環境が悪くても、なんとか工夫し耐え、思考や行動を上手に調整する力を備えている。
だからこそコロナ生活が数年も続くと、今はもう「控えめにしてあまり動かない」というスタイルが定着した。
学校生活でも生徒らは、いやこれは大人だって同じであるから国民全体が「無理をしない」とか「エナジーを抑える」といった日常を送っている。
慣れてしまい当たり前となったいま、あえて「よしアクセルを踏もう!」と強く走り出す一歩が必要になった。
唯一つの方法
なにもせずただ過ごしていくだけでは、コロナが収まっても私たちの停滞した生活観はこのままだろう。
これを書いている2022年12月12日 時点でも、ワクチンは4,5回と続いてはいるものの、国民はすでにして普段の日常を取り戻せている。
感染力だけが凄まじく強くなっているから陽性者が未だ後を絶たないことはたしかだが、それが地域としてまたは社会的に混乱と不安を引き起こすような状況はまるで起こっていない。
唯々、猛威を振るったときと変わらぬ「感染対策」だけが、国民を縛っているに過ぎない。
本当はもう、コロナ発症前の状況に戻っていると言って良いだろう。
それなのに私たちは部活動への熱を取り戻そうとしていない。
コロナ生活に慣れてしまい、もはやそのペースが普通の環境になってしまったからに他ならないが、そこから上げていくのには「戻す」のではなく「脱する」ことが必要だと考える。
無くなったものを取り戻すためには、また新たに作り出すエネルギーがいる。
それはゼロから出発することと同じであり、自然と回復していくなどと期待してはいけない。
バスケ熱、スポーツ熱はもう消えてしまったのであり、それをしたければまた新たに始めて熱を生み出していく必要がる。
それが唯一の方法だと考える。
離脱者が多くとも
スポーツ現場では、頑張るところを頑張らない、高い壁に挑戦する情熱が無くなってしまったなんとも弱々しい風が吹いている。
体力がないとかそういう肉体的なものよりも、意欲が薄くて目指すところもよく見えなくなっている様子だ。
つまり自分がスポーツをする目的や目標といったものがハッキリせず、なにか不都合が出たり負荷が掛かるとすぐに放り投げてしまう。
要するに「やーめた」が簡単に出てしまうのだ。
ありのままに言って、この先しばらくは部活動離脱者が増える事態を覚悟しなくてはいけないだろう(外クラブも同様に)。
もしくは辞めないように配慮し、気力に欠けた活動を行うか。
どちらにしてもマイナスである。
不肖私は迷うことなく前者を覚悟する。
遊び半分に腑抜けた練習と試合をするなんて、まっぴら御免だ。
つまらない時間を我慢する覚悟など持てない。
もうすでに高校では、たった1,2ヶ月で退部する生徒が増えている状況だが(実際にはなにも伝えず居なくなります)、それでも質を落とさず、情熱を持てる人材を集めなくてはいけない。
離脱者を減らそうとスポーツ熱を沈ませるほうへシフトしてしまえば、それこそ部活動はレクリエーションやサークル活動化することに繋がる。
ある意味、自然の流れだと腹を括って受け入れ、部員が少なくとも意欲が薄くとも心身のスタミナに乏しくとも、粘り強く熱を発して現状から脱すべく尽くすのみだ。
あなたはどう乗り越えるか
中学から高校までの年代で、スポーツに意欲を燃やす人材が集中する一部のチーム以外、日本のほとんどすべての部活動や外クラブは人材減、部員減の局面をきっと逃れられない。
もしくは思い切りよく頑張れず、ゆるく程々の活動に控えてスポーツ環境を萎ませるか。
間違いなく多くのスポーツ活動では、そのどちらかになる。
目標も高くきつい練習を頑張り、それでも部員数が多い環境というのは数パーセントだ。
一極集中する流れが強まり、日本全体としてはその真逆の環境が普通となってしまった。
短くも長いコロナ生活で一変したジュニア期のスポーツ熱の衰退を、あなたはどう乗り越えるのか、重要な局面だからこそあえてそれを問いたい。
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。
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