【梅原トレーナーのからだづくり哲学】 コロナで様変わりした中学高校の部活(後編)

スキルアップ 梅原 淳

今年を含めて過去3年間のコロナパンデミックによって、動かずなにもせずただ留まるばかりの学校生活を日常としてしまった子どもたちの気力の変わりようについて、不肖私の現場経験を交えてレポートしている。

たったいまの子らは決して無気力なわけではなく、素行が悪くなったのでもない。

学校が荒れたりするようなものとは違い、行動はまともなのだが、そこに熱が帯びていない。

分かりやすく言うなら「バスケ命」「バスケ大好き」「絶対勝つ」みたいな自己目標が表現されず、気持ちなく唯々部活に入っているだけのような生徒が少なくない。

少なくないと言ったのは正確ではなくて、本当は部活に漂う空気全体がすでにして目的や目標を失った目指す意欲なきスポーツ活動となっている。

これを私は、全国の学校でありありと実感している。

ブキッチョでも構わない?

練習を直接見ているチームや選手のみならず、隣で活動している他競技の様子、学校を少し歩けば廊下やグラウンドにいる生徒たちの様子がよく見える。

また学校生活のたったいまの実態を、現場の先生たちからもたくさん聴いている。

授業にしても提出物にしても授業以外の行事に至っても、以前とは違う子どもらの取り組み方に先生たちは陰で苦悩しているようだ。

しかしこれを黙って気づかないふりでいることは危うい。

なにをするのも「大体」「ほどほど」「頑張らない」といった様子で、その出来具合をまるで求めない生き方は、たとえまだ子どもとは言え未来への活力を奪う。

いやじつは子どもだからこそ、出来不出来は必要だ。

学問にせよスポーツにせよ、体験経験の根っこは知識を得て知恵をつけることに日々励んでいるのであり、己の人生に活かそうとするものだ。

自らの手でなにかをするときに、それが上手に行えるかどうかは必然の課題となる。

身近なもので例えるならば、掃除をしても皿を洗ってもまるで要領を得ないのでは、その仕事は出来の悪いものにしかならない。

手仕事が拙劣では自分も含め皆が困るのだから、どんなものだって技量は発達したほうが良いし、私たちは自然とそれを求める感覚にある。

幼児の頃に靴がうまく履けないのを、克服しない人はいないだろう。

話を戻せば、たとえそれがスポーツであり学業成績の中心ではない部活動であっても、するからにはブキッチョでは面白くないのだから、上達発達を当然目指し成績を伸ばそうと頑張るのが必然のことなのだ。

それなのに、なぜかブキッチョを平気で受け入れる選手が増えている。

半端な層が完全に離脱

成績を伸ばそうと頑張る意欲、技量を上達させようと熱中する意欲が薄れてしまったのは、この3年で長い期間を活動中止禁止とされてしまい、運動部に入る生徒のなかで気持ちがまだ半端な層を取り込めなくなった事が痛い。

これまでは続けるなかで、部活をすぐにやめそうな子たちが次第にのめり込み、完全に振り向き、そこで盛り上がりを維持してきた面がある。

それには本人の自然な心変わりだけに留まらず、部活動全体の雰囲気や仲間との友好な関係、顧問の働きかけも多分にあって成立してきた。

それがコロナで完全に活動制限を掛けられたために、度重なる活動停止や大会中止によって心が部活に向く機会が無くなり、入部してもすぐにやめる、そもそも入部者が少ないといった現実を生んだ。

それはやめる子のみならず、最後まで続ける子たちの情熱をも冷めさせてしまったのだ。

「楽」が染みついて離れられない

スポーツを頑張ろうと思う子どもは、学校として力を入れている私立校や実力のある強豪校、以前から自然と人が集まる人気校に集中している。

近年の一極集中がコロナでさらに進み、くっきりとスポーツのしやすい学校とそうでない学校とに分かれてしまったように見える。

現に私の通うチームでも、以前より盛り上がっている学校と衰退していく学校があり、同じ活動自粛を経験したようには思えないところがなんともつらい。

しかし盛り上がっているチームはごくわずかであって、大半は目標達成の意欲を失った子らである。

頑張らずに休んでばかりの日常を2年以上も続けてきたのだから、そうなるのも無理はない。

さらに心身の成長期としてド真ん中の小学校高学年から中学校までがそのような境遇であったなら、なおのこと寝そべってしまうくせが強固になるに違いない。

ちょっとやそっとのきついこと、難しいこと、面倒のあることを、ことごとく避ける思考になってしまっている。

ではどうするか

これを読んでいるあなたは、絶望感に近いものを持たれたかもしれない。

もしくはご自身もそんな生活に慣れきってしまって、いまいちピンとこないという場合もあるだろう。

これは誇張でも私の思い込みでもなく、目に映る部活動のありのままの姿である。

「すぐに練習を休む、体調不良という理由が増えた、競い合いがなくなり馴れ合いになってしまっている、練習しても身にならない、体力気力がない、頑張らない、精神的に弱るケースが増えた」

現場では先生たちが、以前とはあきらかに変わった生徒たちの様子に悪戦苦闘している。

いや実際は困り果てている人が多い。どうしていいか、分からずにいる。

かくいう私も、簡単にはどうしていいか判断に迷う。

迷うが、しかしやはり気概を以て指導を行うしかない。その現実は避けられない。

もう一度タフに、エネルギッシュにさせていくのみである。

(次回、まとめ)

この記事を書いた人梅原淳梅原 淳
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。

 

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