【梅原トレーナーのからだづくり哲学】 コロナで様変わりした中学高校の部活(前編)

スキルアップ 梅原 淳

ここ数年で、子どもたちのスポーツ現場にある変化を感じるようになった。

それによって競技力の伸びが見られなくなり、それを目指す過程の「熱中時代」みたいなものもすっかり消えてしまったように思う。

気力のない10代のスポーツ選手はずっと以前から一定数いたが、いまは全体として自己目標を持たない雰囲気がありありと感じられる世代になっている。

無気力と言うよりも、目的と達成感を求めない生き方といったように私には感じられる。

なにを頑張らなくとも、なにを自分で努力し獲得せずとも、人生は勝手に万事がうまく進みなにも困ることはない?

自分のしていることなのに出来不出来など気にもせず、まるで熱をもたない子どもたちに、こちらが心底不安を抱く。

それは間違いなく、中国の武漢から発祥したウィルスによる世界的なパンデミックが、彼らの大切な成長期を奪ったからに他ならない。

たったいまの10代とくに中学生と高校生は、今まで以上に自己成長が見られなくなっている。

なにかに意欲を燃やして、到達しようと目指すものを持たなくなった。

不肖私の目にはそのように映っている。

技量が伸びない根っこの原因

競技力向上の停滞はどこで起こるか、この問いに答えられる人は果たして何人いるだろうか。

抽象的な問いではなく、自らのスポーツライフにぶつけてみて、どうやったら今のこの鈍く重い一歩をグッと前へ進められるのか、それを日常的に考えている人は少ないのではないかという意味の投げ掛けである。

いまあなたの技量は向上しているか、あなたのチームは伸びているか。

努力している過程であることは当然として、現実的にあなたそしてチームの競技力が上がっているだろうか。

もしも「停滞している」「相変わらず」「実感はない」「パッとしない」と答える人がいたなら、なぜ自分は力がつかないのかと根っこを見てみることを提案する。

しかし上述の問いを普段からする人など、ほとんどいない。

少なからず私が携わる現場では、そんな選手は稀にしか見ない。いれば、それは取り組み方ですぐわかる。心掛けが変わったなら、何気ない行為にそれが顕れるからだ。

残念だがほぼ100%に近く、こちらが強く喚起しない限り自ら励んで技量を向上させていくことはない。

強く喚起したって、実際はほとんど動かない。

つまり自己成長を見せない、ということだ。

これが多くの現場にあるスタンダードである。

どこまでも自分

もはや競技成績がどのくらいか、ということではない。

1回戦負けの実力でも、県のベストいくつの実力でも関係なく、自分を向上させようとその本人がしているかどうかを問うている。

そして実際に「ぜったい力をつけてみせる」「もっとできるようになりたい」と意気込む選手は技術体力ともに伸びるし、たとえ全国大会出場といった立場にいても現状に留まりまるで伸びない選手はいる。

では停滞が生まれるとすれば、どのあたりからだろうか。

物覚えが早い遅い、才能のあるなし、周囲環境が抜群、それらは停滞と因果関係を持たない。

いや、奥深くでは後押しするものにはなる。

さらに加速させる要素ではたしかにあるが、根っこではない。

そしてもう一つ、その差は「どのような練習をおこなっているか」でもない。

練習内容が良いことは救いだ。デタラメではどうしようもない。

ただ余程の悪いケースなど滅多になく、客観的な事実として、どのような練習だとしてもさほど大きな差とは言えない。

では何が停滞を生むか。

世の中に巡る、いちばん大きく中心的な「成長を育まない理由」はどこにあるかを考えてみたい。

コロナ自粛で部活が衰退

やはりそれは己の内なるもの、どう考えどう動くかという「主体性の強弱」にあるとしか言えない。

 

この記事を書いた人梅原淳梅原 淳
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。
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