【梅原トレーナーのからだづくり哲学】 トレーニングコーチはチームビルドが仕事(後)

スキルアップ 梅原 淳

承前、私のトレーニングコーチとしての仕事は、ただ教科書的にからだづくりの方法を教えるのではなくて、その選手そのチームがどうやったら伸びていくのか、客観的な事実を見つけてそこへ直接アプローチすることです。

私はチームビルドのプランナーでありコンサルタントであり、外部からそのように関わってチームをサポートしています。

あくまで私の場合です。

他のトレーニングコーチ、スポーツトレーナーがどうやっているのかは知りませんが、そのチームを長く継続して見るとなれば自分の専門分野の教科書を読んで終わり、とはいきません。

選手がなぜ伸びないのか、どうやったら向上するのか、今の状況、状態の理由はなにか、それらには様々な原因があり結果を出すためにはすべてを検証する必要があります。

専門分野のここだけやっていれば良い、などという思考は雑な皿洗いと変わりません。

店の売上の伸びる皿洗いをするのが、私の仕事の信念です。

トレーニングコーチはコンサルタント

前編で、脳にまつわる運動パフォーマンスの縛りを書きました。

そこをどうにか解かないことには、私のこれから教えるからだづくりも成果は出ません。

成果の出ないことが見えていて、その原因をテコ入れしないなどという選択肢はあるでしょうか。

それが担当の場所じゃなくても、専門外であっても、そんなことは関係なく手を尽くして改善を図るべきです。

そこに疑問や迷いは一切ありません。

そうなるとトレーニングコーチとしてからだづくりを担当していても、成功するためにテコ入れしなくてはいけない点は多方面に散らばっていますので、自ずとチームビルド全体を見ることになります。

これは必然です。

トレーニングコーチ、スポートトレーナーはコンサルタントでなくてはいけません。

専門外にこそ原因が埋まっている

この新潟でのトレーニングでは、選手たちのパフォーマンスを引き出すエッセンスをたくさん見つけることができました。

そこを話して刺激して、いきなりガラッと選手らの雰囲気が変わります。

そう、運動能力は突然伸びるのです。

もちろん本当に筋肉や関節が強化されたわけではなく、からだを支配している脳からの指令が変わり、低く留まっていたパフォーマンスが大きく広がったということです。

眠っていたものが起きたのですね。

ただそれだけです。

しかし目覚めてからは、トレーニングの力強さが段違いに良くなります。

走りが速くなり、パスが強くなり、シュートがよく入ります。

ミスが少なくなります。

頭が冴えると、動かなかったからだがよく動くようになります。

ここからトレーニングが効き始めます。やったことが実りになる。

気がなく眠った状態では、トレーニングは無力なのです。

他にも、疲れても膝に手を置かない、移動は迅速に、シャツを入れる、ノリのよい声を出すなど、トレーニング自体とは離れたように思えることをいくつも実行しました。

それらが実際に選手たちのパフォーマンスを上げて、第1回目の「梅トレ」を最後までやってのけ、明日以降に実りある課題をつくることもできました。

それもこれも「専門」「担当」の外へ足を踏み出したからです。

頭がものを学ぶ準備を整えてから

からだをどう使うか、関節や筋肉をどうやって鍛えるか、そういったド真ん中のことは集中力が上がってからの努力です。

脳が眠っていれば、すぐに疲れるしすべて念仏に聞こえます。

その状態が目の前に見えていても淡々と実務をこなせるトレーニングコーチは、相当な強者です。

変わらない未来が見えていて、そこに力を注ぐエナジーを私は持ち合わせていません。

どうやったって気力は沸きません。

変わるからこそ頑張る気も出るのだし、それは私だけではなく選手たちだって本音は同じです。

からだが良くなる秘訣は、様々なところにあります。

本当は埋まってはいなくて頭が見えているので、よく見れば誰でも見つけられます。

それなのにどうしてか、テコ入れしない人が多いしそれで延々問題が起きて苦労し続けるのです。

不思議です。

まずはうわべの行動から

今回の新潟Z高校は、1年2年と続けば間違いなく大会でも活躍するようになります。

上位進出も現実的なラインでしょう。

それは選手集めがどうの、部活環境がどうのという話とは違います。

ちょっとした行動を変えて、はじめは演技やうわべであってもそれを続けることで脳が活性化し、それが神経を伝って運動が冴えはじめます。

選手のいまの実力はどうであろうと、そこからの伸び方が可能性と希望であること、求めるのはただひとつ「成長」です。

成長をつくるためには、ものを学ぶ態勢が必要です。気力が上がり、集中力が高まっていることが前提です。

それができればあとは比較的簡単に物事が進み、からだづくりをはじめチームビルドとして全体的に伸びていくでしょう。

それができるのは、やはり長く継続してチームに携わることが条件です。

物事を成果へ結びつけるのは、反復であり継続です。

前よりも一歩進めようとする成長的な継続が、チームを育てます。

これが定期指導の醍醐味と言えます。

この記事を書いた人梅原淳梅原 淳
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。
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