【梅原トレーナーのからだづくり哲学】 怪我の休養は医者任せにしてはいけない

スキルアップ 梅原 淳

ある日のトレーニングで、学校名、地域名とも教えられませんけれども、足部の疲労骨折という診断を受けた選手が二人、私のところへやってきました。

その怪我についての報告を受けて、どこでも変わらないパターン化した内容の印象を強く感じた反面、これまでと違う素直で前向きな光もわずかに見ることができました。

怪我の具合を聞いてから、私はいつもひとつだけ問い掛けます。

「自分としてはどこまで(練習が)できるのか?」

すると皆ではありませんが、多くは「(病院の)先生にこうだと言われた」と答えます。生徒たちの中では病院で言われたことが結論となっていることが、ここから窺い知れます。

もうその問い掛けをこの仕事を始めてから20年以上、ずっと同じように繰り返してきました。とくにこの数年、私はあえてそこからもう一歩深く踏み込んで子らに話をしています。

判断は自分でする

病院の診断を受けて、そこから先あなた自身はどう行動を決定するのか?

それが私の問いかけの真意です。

個人のからだとスポーツ活動について、最終的に決めるのはその本人であり病院ではないことを考えてもらおうと、誤解を生むことも覚悟でまっすぐに話しています。

専門的なことは分からないから判断しないのではなく、それだからこそ情報を収集して検査や診察も受けてデータを取っています。

それは完全に医者に丸投げしてすべてを決めてもらうことではなく、自分自身で判断するための材料をその分野の専門家から教えてもらうのです。

どのような場合も、あなたのことは必ずあなたが最後の決定を行わなくてはいけません。絶対です。

なぜそれが必要か

どれほど知識に乏しくとも、はじめての経験であっても、決定者は己自身でなくてはいけません。

なぜか。

あなた以外、あなたのことに誰も責任を取らないからです。責任も取らなければ、それがどう転がろうと他人は困りません。

もし判断を誤り、チャンスを逃したり損したりしたならば、その影響を受けるのはただひとり、あなただけです。

その危うさをよく知っているからこそ、私はアマチュアだから子どもだからと曖昧にせず、きちんと選手には起こりうる未来を示し、判断に迷うときでも最後は自身で行動を決めることを促しています。

基本的に選手は怪我の詳細が理解できていません。お医者さんから説明をされて、もしそれがレントゲンなどを見ながら丁寧に教えてくれたのだとしても、その分野の専門家ではないので精確には把握できません。

それだから病院で言われたままに行動します。信じ切っていると言うよりも、思考するのを止めているのです。

さらにその報告を受ける顧問の先生や私もいわゆる又聞きになりますから、さらに具体性を欠くことになります。

ではいったい、何を基準に怪我からの回復、運動を行えるか否かを判断できるでしょうか。

医療は自力の手前まで

病院での診断は、ある程度の範囲について手順を教えてくれているのであって、患者の行動すべてを掌握するものでは決してありません。

お医者さんは一般的な処置の方法や期間を言っているに過ぎず、あとは経過を見ながら「自分で判断してください」という含みで診断を下しています。

医者は患者の怪我について、丸投げされているつもりもなければ、完治までの過ごし方を一から十まで手引きしてその責任を担うつもりもありません。

医療というものは、患者が自力で改善に努めていける手前までを助ける行為です。

なおのこと、スポーツで負った軽い損傷であれば、程度の分類や修復期間はそれほど詳細には出ません。治癒の力は人間自身にあるものだからです。

きれいさっぱり傷跡が消えるところまで、お医者さんが面倒を見てくれることはありません。それは医療の仕事ではないのです。

検査結果を含めた医師の診断を受けて、それを材料とした上でさらに自分の身体的な実感を入れた判断を、あなた自身でする必要があります。

スポーツ現場での実際は

痛みが悪化するような無理や我慢は、判断の誤りです。同じように痛みがないのを怪我だとすることもまた、誤った判断です。

しかし本人は自分で考えることをやめてしまい、他人に言われるがままずっと医者のゴーサインを待っています。

お医者さんは「私が良いと言うまで動いてはいけない」とは言っていません。ひとまず一般的な症例だと回復までこのくらいの期間がかかる、という話をしてくれています。

実際にはあなたの治癒力で、長引くこともあればすぐに治ることもあり、それはあなた自身にしか知り得ません。

完全に安静にして最短で治す選択が良いか、少し痛む感じもあるが休む程度でもないのか、大事なことは行動をはっきりさせることです。

それには自分の最終判断が必要ですね。

中途半端に練習したり休んだりを繰り返す人、負荷の軽いものだけしてあとは休むなんてことを何ヶ月も続けている人、よくあるスポーツ現場の光景ですが、自分で決定していないためにこうなります。

休むならしっかり休む、できるなら思いきって練習する、ここを明確にするよういつも選手には考えてもらいます。

一応するが負担が無いよう少しだけ、このどっちつかずの「いいとこ取り」にも見える行動が、現場で一番目立ちます。昔から変わりません。

それは選手自身の意欲と可能性を削いでしまう悪魔の誘惑ですので、私は怪我人には常「自分のからだと話そう」ということを伝えています。

今回の女子選手二人は、変に斜めからではなく素直に話を捉えてくれました。あとは本人次第です。もちろんときおい投げ掛けは行おうと思います。

やや個人的な話でもありましたが、きっとあなたの身の回りにも起こるケースだと思いましたので、レポートに致しました。

もし参考になれば幸いです。

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