オフェンスIQを高めよう③

スキルアップ

前回、バスケIQをオフェンスにフォーカスして解説しました。今回はより具体的にオフェンスIQを高めるために必要なスペーシングについて解説します。近代のバスケにおいてシュート力やハンドリング力などのボールスキルに引けを取らないほど重要視されているのがこのスペーシングです。

 

なぜスペーシングが必要なのか

はじめになぜそれほどスペーシングが重要視されているのかについて解説します。

ドライブ・カッティングスペースの確保

特にドライブやカッティングなどのリングにアタックするシチュエーションでスペーシングは大切です。リング近辺はオフェンスもディフェンスも密集しやすいです。その空間を少しでも空けることができればスラッシャーの得点チャンスは大きく増えます。逆にポストにいつまでも居座ったり、カッティングの後にシールをするわけでもなくリロケートもしなければ、他の選手のリングアタックのチャンスを潰してしまいます。

またリング近辺だけでなく、ドライブを仕掛けようとするボールマンの側に味方オフェンスがいると、二線のカバーが気になりドライブコースが限定されてしまいます。「最優先はボールマン」であることを意識しましょう。

アウトナンバー

セットプレーやスクリーンは基本的にアウトナンバーを作ることを目的としています。1対0(フリー)、2対1などを作ることができれば楽に得点を取ることができるからです。速攻時はもちろん、ハーフコートオフェンスでもアウトナンバーは作れます。そのためには適切なスペーシングが必要です。ドライブが起こりディフェンスがカバー&ローテーションを行えば必ずアウトナンバーは生まれます。ドライブからのキックアウトでオープン3P、ローテーションが来れば更にその隣のフリーの選手にパスを回して3P、などです。しかし、その二者間が近すぎる(コーナーと30度など)と1人のディフェンスで両方守ることができてしまいアウトナンバーが生まれません。フリーのシュートを打つためにスペーシングは必要となります

ディフェンスのズレ

一般的にはディフェンスのズレを作るためには1ON1やスクリーンなどを使う必要があります。しかし、特にゾーンオフェンスの場合はパス回しだけでディフェンスをずらすことも可能です。適切な距離感でポストも活かしてパス回しをすることでディフェンスは数が足りない、動く量が増える、体の向きが変わるなどのミスの要因が増え、結果ズレを作ることができます

 

ここまで、スペーシングが必要な理由について解説しました。重要であると同時にスペーシングは難しいです。ではなぜスペーシングは難しいのでしょう。

 

スペーシングが難しい理由

 どれだけ他の技術が高くともスペーシングが下手ということが原因で試合に出られないということもあります。

ポジション移動

どこに動けばいいのかわからない」ということがよく起こります。ボールが動いた瞬間にどこに立つかを素早く判断するというのは難しく、結果他の味方のスペースを潰してしまう、ということがよくあります。

また、「静止していること」が正解になるケースもあります。合わせにもダイブ、リフト、ステイと種類があります。それを毎回パサーと同じイメージで選択するのには相当の練習が必要です。

ポジション被り

特にカッティングなどで起こりがちですが、味方とポジション移動した位置が重なってしまうということも少なくありません。チームの約束などがなければどちらが間違っているというわけでもないケースも少なくないので解決が難しいです。

戦術の多様化

 ビッグマンはポスト、ガードはトップオブザキー、フォワードはウィング、と役割が完全に分離していればある程度スペーシングはわかりやすくなりますが、近代ではガードのポストアップストレッチビッグも少なくありません。5アウトオフェンスは特にボールも人も多く動く必要があります。そういった多くの戦術が入り混じることで正解が増え、選手の動きには迷いが生じます。

 

おわりに

今回はスペーシングの必要性と難しさについて解説しました。チームや指導者、カテゴリーによっても様々な動きがあり、シチュエーションにも大きく影響されるので特定の動きをすれば「正解」と言えるものではありません。適宜正しい判断をするためには知識と経験が必要です。次回はその知識について解説します。

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