【片岡編集長のレポート⑬】チームへとトランジションドリルを受け付ける方法の一案をご紹介します【戦術】
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過去数回の記事では、試合の命運を握る『トランジションディフェンス』についてキーワード(①スプリントバック②STOP THE BALL③BUY TIME④グットビジネスマンになれ!)と共に紹介をしました。
重要になる因子について納得、共感をして下さった方の中にも、トランジションディフェンスに関する意識の植え付けなどで試行錯誤をされている方も多いのではないかと推察します。
今回は、具体的な練習ドリルを通じ、チームへとトランジションドリルを受け付ける方法の一案をご紹介したいと思います。
まずは、STOP THE BALLの意識を複数選で共有し、ボール運びをする選手の突進をストップ、ハーフコートオフェンスへと持ち込んだディフェンス映像をご覧ください。
MHP Riesen Ludwigsburg(日本でも実績多数、ジョン・パトリック氏の指導するチーム)
◇代表的なドリル
コンセプト:細かな設定は度外視し、ゲームと似たカオスな状況を意図的に作り出し、選手にディフェンス経験を積んで頂く。
サークルスタート(下図左)
・チームA、チームBの選手が交互に並んで、ゴール下のノーチェージエリア周辺をグルグルと回ります。
不意打ちでコーチがボールを地面に投げつけ、またはシュート。ルーズボールを獲得したチームがオフェンス、もう一方がディフェンスとしてスタート。(チームAがオフェンスとします)
・チームAがオフェンス後、チームBはDF終了後のオフェンス。
・サークル形式でスタートするのは最初のエントリーのみ。状況にとって、1往復、2往復、3往復と設定をする。
②タップスタート(下図右)
・チームA、チームBが交互に並び連続ボードタップでスタート。コーチが笛を鳴らしたタイミングでボールを保持したチームがオフェンス。反対チームがディフェンスとなります。
・チームAがオフェンス後、チームBはDF終了後のオフェンス。
・タップ形式でスタートするのは最初のエントリーのみ。状況にとって、1往復、2往復、3往復と設定をする。
◇設定に関する工夫
①チームAのオフェンス終了後、「シュートを打った選手/ターンオーバーのきっかけを作った選手」がエンドライン(または壁)をタッチ。DFが少ない状況でトランジションDFをスタートする。
②チームAのオフェンスがショットインで成功した際、チームBはエンドラインを跨がずにオフェンスをスタートして良い。ショットインのボールを保持した選手もドリブルスタートでオフェンスをスタートしても良い。
◇コーチングをする際に選手との前提条件の整理
上記の設定は、決して珍しい設定ではなく、多くの指導現場で実施されている事だと思われます。しかし、コーチ側でのドリルの設定が甘いと、オフェンスもディフェンスも散漫とした攻防になってしまいます。その為、下記のような設定を設け、徹底的にトランジションオフェンスにおける負荷を強める工夫を加えると、ドリルの明確性が増加します。
①ボール運びをする選手への指示
→自分でシュートまで持ち込める、またはドリブルで突っ切ってペイントまで運べそうな時が積極的にトライをする事」※本ドリルにおけるターンオーバーなどを、プレイングタイムやチーム内での競争の査定に加えない事を事前に伝達して多く。
②ディフェンスリバウンドを獲得した選手への指示
→縦パスを出して速攻を出せそうなシチュエーション、またはアウトレットパスで効果的なパスが出せると判断した際には、積極的にボールを前に進める事にトライをする。※ここでも、※本ドリルにおけるターンオーバーなどを、プレイングタイムやチーム内での競争の査定に加えない事を事前に伝達して多く。ボールプッシュに関する挑戦的な判断を奨励する。
③ミスマッチが発生した際に、徹底的に狙う意識付け。
→DF側のマッチアップの関係でミスマッチが発生していた際には、徹底的にポストアップを狙います。状況によっては、アーリーオフェンスの早い段階でゴール下付近でシールをする事でペイントエリアでのシュートや、バスケットカウントのシチュエーションを創出できます。
④特別なシューターのいるチームと対戦する際には、トランジションの中での3Pシュートを奨励。チーム内にスーパーシューター役を設定し(1人または2人)、オープンシチエーションでの3Pを奨励。
→「トランジションでの3P、または、そのリバウンドを獲得される」は、多くのチームで、ゲームで最もやられたくないシチュエーションでは無いでしょうか?意図的に、似た状況を創り出すことで、負荷を高めます。
<まとめ>
トランジションドリルでは、ドリルの設定として負荷を強める事、及び、オーソドックスな攻防に終始しないよう、選手の意欲的な挑戦を奨励する環境創りが重要だと思われます。
プロレベルでもミスが発生する難しいテーマでもある為、1往復単位で選手を中心に話し合う時間を設け、とにかく、生きた経験の中でのトライ&エラーが重要になるのではないかと思われます。
最後に、MHP Riesen Ludwigsburgのハーフコートディフェンスの行方を紹介します。
2回目のピック&ロールでオープンスペースを創り出してしまいましたが、必死のカバーディフェンスで対応。最後の決定的なアシストに対してボールの軌道をずらし、完全なドフリーでのシュートシチュエーションは防いでいます。
MHP Riesen Ludwigsburgの執念のディフェンスと言えるでしょう。
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