【片岡編集長のレポート⑧】八村選手のリバウンドダンクから読み取る「ディフェンスリバウンド」の重要性とは?
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日本代表男子チームが、ワールドカップ予選で2次ラウンドへの進出を決めた事は、日本中の多くのバスケットコーチ、ファンにとっても非常に喜ばしい出来事になった事と思います。
ニック・ファジーカス選手の帰化、八村塁選手の加入によるインパクトも大きいですが、個人的には、2016年FIBA男子オリンピック世界最終予選敗退後から、協会やB.LEAGUEで実施してきた地道な強化策が実った部分も大きかったと感じています。
そんな中、今回のメルマガでは、ファジーカス&八村選手合流後、韓国代表チームとの親善試合での八村選手のリバウンドダンクを題材に、ディフェンスリバウンドをテーマとして扱います。
◇八村選手のリバウンドダンク。あの場面、韓国側のDFは的確だったのか?
ディフェンスリバウンドの重要性は、バスケット界全体で語られており、映像による解析、ディフェンス選手の意識付けなど、どのチームでも重点的に取り組んでいる事です。
富樫選手のカットインスキル、八村選手の素晴らしい跳躍力やバスケットセンスが際立ったプレーではありましたが、なぜ、あのようなハイライトシーンが誕生したのでしょうか?
日本代表以上に、国際大会で様々な経験を積んでおり、欧米の屈強なインサイド選手との対戦経験も豊富、身体接触やディフェンスリバウンドへの意識を日本以上に持っているであろう韓国代表でさえ、あの場面で、ディフェンスリバウンドを防ぐことは出来なかった。
韓国代表は、あの場面、どのように対応すべきだったのかを映像と図解で考えてみたいと思います。ディフェンスリバウンドの強化、リバウンドミスからの失点を減らしたいと考えているコーチの方々にとって参考になれば幸いです。
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※バスケットボールライン@basketballxline さんのツイッター投稿より引用
・展開としては、チームのセットオフェンスに取り組んだ後に、ショットクロックなどを判断し、富樫選手が竹内選手との2メンゲームを選択しました。
残りの3選手は上図のようなスペーシングを確保しています。※八村選手がアウトサイドに配置する事で、インサイドのディフェンスマンがサイズの小さな選手になっています。
ここでは、その部分の説明は割愛します。
・竹内選手のon ball screenに対し、韓国DFはICEを選択。ボールマンディフェンスがミドルラインに、ビッグマンのDFがベースラインに待ち構えます。
※ここではICEに関する詳細の説明は割愛します。
・ICEの場面で、韓国チームの考えたDF策は2つ。1つは、X5対富樫選手のBig-Smallのマッチアップ、つまり、スピードのミスマッチに対し、サイズの優位性を上手く活用し、富樫選手に難しいシュートを選択させること。もう一つは、竹内選手のPOPに対し、オープンのシチュエーションを作らない事。ICEに対するPOPへの対策には何種類かの守り方がありますが、このケースでは、八村選手にマークをしていたX4が、少しだけポジションと視野の確保を変え、POPした竹内選手へパスが出た際にローテーション出来るように体制を整えました。
・そのようにコート上に僅かな変化がある中で、富樫選手は、ヘジテーションやフェイクを使いながら、最終的にドライブインを選択。X4が竹内選手への意識を強め、八村選手への目線を切った瞬間に、八村選手はインサイドへスルスルと侵入。リバウンドダンクを成功する事が出来ました。
※映像を見る限り、富樫選手から八村選手へのパスコースもあるように見えました。
・韓国チームとしては、富樫選手のシュートを外させる事には成功した為、このリバウンドダンクは非常に痛い失点です。これが、反対の立場だとすると、ガックリとしてしまうのではないでしょうか?
◇どうすればダンクを防ぐことが出来たのか?
・POPに対するローテーションを明確化するのであれば、それに対する合わせ技として、ウィングのディフェンスX3が八村選手に対してバンプ/ボックスアウトを徹底すべきであると考えます。
それによって、3番選手にはスペースを与える事になりますが、リバウンドにおける優先順位の問題です。まずはゴール下のスペースを守らない事には、ディフェンスが終わりません。特に、八村選手のように跳躍力のある選手を守る場合は優先的にケアを売る必要性を感じます。
②X4の素早いハリーバック
・または、当たり前の話ですが、X4の選手が余りにも無防備過ぎたと感じています。事前のスカウティングが何処まで浸透していたかは定かではありませんが、決して3Pが得意ではない竹内選手のPOPへ必要以上に警戒しすぎたのではないでしょうか?
竹内選手への緩いボールが出ればスティールを狙うべく視野やポジションの微変化があったとしても、八村選手への警戒心だけは注意を払うべきであった。映像のように完全に視野を切ってしまったことで、侵入を許してしまいました。
<まとめ>
ディフェンスリバウンドが失敗するケースは、多くの場合、ヘルプ&ローテーションが発生している途中での飛び込みリバウンドです。
多くのチームで、ドライブに対するヘルプ&ローテーション、キックアウトパスに対するヘルプ&ローテーションの意思統一を図っていますが、競技レベルが低くなればなるほど、ディフェンスリバウンドにおける役割分担が曖昧なケースが多いです。
全てのディフェンスリバウンドを取る事は難しいですが、下記で赤で色付けをしたエリアのリバウンドは最優先で守らなければなりません。
その上で、ピンクのエリア、大きく跳ねたボール、ゴール下の争いで弾かれたボールを獲得する事でファーストブレイクへと繋げる事が出来ます。
本稿が、自チームのDF戦術の中における、リバウンドエリアの優先順位、役割分担の精度を高める事に繋がれば幸いです。
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