【片岡編集長のレポート⑦】プロから学ぶ、「ハンマープレー」で得点を取る方法
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チームにセットプレーを導入する際、決まりごとの多さが故に、逆に選手のプレーが膠着してしまって上手く決まらないケースなどもあるのではないでしょうか?
B.LEAGUEも来季に向けた各チームの陣容が続々と発表されています最近ですが、昨季のポストシーズンより、そのようなケースにピッタリなフォーメーションプレーが繰り広げられていました。今号では、それをテーマにプレーを紹介していきます。
B2各地区の優勝チームとワイルドカード1位チームが出場するB1昇格トーナメント、3位決定戦、FE名古屋対熊本。
惜しくも敗戦したFE名古屋、試合終盤タイムアウト明けのサイドスローインプレー、絶対に3点が欲しいゲームシチュエーションの中、非常に綺麗なオープン3Pを演出しています。
一般的に『ハンマープレー』と呼ばれるプレーとなります。サンアントニオ・スパーズがNBAを制覇した2014年頃から非常に有効的に使われていたプレーコンセプトとなります。
FE名古屋のプレー紹介、及び、サンアントニオスパーズのプレー(gif動画あり)を通じて紹介していきます。
<FE名古屋、B1昇格トーナメントより 対熊本戦>
・図のように配置します。2にドライブとパスの上手い(またはマッチアップで優位)選手、3にシューターを配置します。最終的な狙いは、コーナーでのオープン3Pです。
・3番が大きく上に走り抜け、その少し後に2番が5番にバックスクリーン。タップパスなどを狙う様子を見せますが、本当の狙いは別にあります。
・スクリナーだった2番に対し、4番がスクリーンをセット。そのままボールサイドカットをして、ボールをレシーブします。ベースラインへと一目散にドライブをします。
・2番のボールキャッチと同じタイミングで、(先ほどまでスクリーンを貰ったばかりの)5番が、3番の選手へアップスクリーン。
※このように下から上へと叩くようなスクリーンなので「ハンマープレー」と呼ばれるようです。
・2番のドライブに合わせてコーナーで待ち構え3番の選手へ。オープンでの3Pを狙います。
◇(映像あり)スパーズのハンマープレー(簡易版)
さて、上記のプレーはスクリーンが複雑に絡み合っており、DFにとっても対応が難しい連続性のあるプレーとなっています。
その複雑さゆえに、DFの状況もイメージしにくいと思います。前述、サンアントニオ・スパーズのシンプルなケースのプレー動画を基に構造を解析していきましょう。
※コーナーにパスが通る際、3秒ほど画面が止まりますが故障ではありません。元々の映像について、一時停止をしている為です。
・ウィングでのPnRに対してのDFの図解となります。実際のDFでは、ICEと呼ばれるDF戦術を対戦チームは用いていますが、図解上では割愛します。
・PnRに対して、ドリブラーはスクリナーをフェイクにベースラインへとドライブを試みます。それに合わせて、インサイドDFのX5はベースラインへのケアへとポジションを移行するのが一般的です。
・ドライブと同じタイミングで、X2の選手へと5番がアップスクリーンをセットします。ヘルプのヘルプ(カバーのカバー)を狙ってスペースを埋めようとするX2は、死角からのスクリーンに対応できず、コーナーを完全にフリーにしてしまいます。
・狙い通り、1番から2番へとパスが飛び、オープン3Pの状況を創り出すことに成功しました。
<補足>
一般論では、カバーのカバーとして、X2の選手が5番へのパスコースを埋めようと試みます。
ドライブに対してX1が守り切れるのであれば、「No HELP」(ヘルプに行かない事)を選択。
X5にも、X2にも、ドライブの刹那には、一瞬の駆け引きが求められます。そこを逆手に突くのがハンマープレーです。
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