【片岡編集長のレポート②】ドライブインに対するインサイド選手の合わせ方
トーステン・ロイブル氏をHCとしてFIBA U16 アジア選手権大会へと挑んだ男子代表チーム。
今夏、アルゼンチンで開催されるU-18FIBAワールドカップへの出場権こそ逃しましたが、レバノン、インド、韓国を相手に3連勝をし、予選リーグを全勝で通過。
運命の一戦、フィリピン代表とのゲームで敗れはするものの、順位決定戦でも集中力を切らさずに見事な戦いを見せました。
過去、U-18FIBAアジア選手権、アルバート・シュバイツァー・トーナメント、U-19FIBAワールドカップを戦ったチームに比べて、今大会で特に目立ったのが、dish passと呼ばれるアシストパスです。
dish passというのは、ウェイターなどが「お皿」を差し出す様子に派生するバスケットボール用語。
ドライブをした選手が、Help ディフェンスを引き付けた上で、インサイドの選手へ差し出すパスとなります。
<例1> ベースラインドライブとの合わせ
<例2 ベースラインとの合わせ>
ハイライト映像などを見て頂けると、ドライブインから見事なdish passが繰り出されている様子を見る事が出来ると思います。
※U-16代表チームの試合については、FIBAのYoutubeチャンネルより視聴可能です。
このようなパスが出せるのは、ドライブインをした選手と、インサイドで合わせる選手の共通認識が存在する事が大きな要因ではないでしょうか。
その上で、「HELPのディフェンスが守れる空間・領域」を把握した上で、ドライブをする選手の絶妙な間合い作りが印象に残りました。
ドライブインに対するインサイド選手の合わせとしては、下図について、ご覧いただけると幸いです。
決して珍しくは無い、鉄板ともいえる合わせの考え方ですが、「HELPディフェンスが守れる領域」に着目して記載します。
また、B.LEAGUEの中で、ドライブからの合わせで巧みな技を見せるのが田臥勇太選手や、ライアン・ロシター選手です。
田臥選手のアシストパスの図解や動画と共に紹介していきます。
◇図1 ベースラインドライブに対するインサイド(オフサイド)の合わせ
ケース1 ライアン・ロシター選手
ケース2 田臥勇太選手
<解説>
・X5の黄色いサークルが、X5が一瞬で守れる領域とします。身体の幅、ウィングスパン、一瞬の反応で影響を及ぼせるエリアをイメージしています。
・ベースラインのドライブに対して、ショートコーナー付近でストップさせるべく、X5がボールマンを封じると思います。
その際、5の選手が矢印(斜め上)のように合わせる事でX5が守れる領域から外れ、バウンドパスなどを出すことが可能です。
※サイズの大きな選手については、ノーチャージエリアのサークル上部のエリアでもOKです。
続いて、同じスペーシングの中で悪いケースを紹介していきます。
◇図2 悪い例(パスコースの選択肢が少ないケース)
<解説>
・X5の選手がドライブに対してHelpをした際、5の選手が同じポジションに留まると、良質なパスコースがありません
(黄色いサークル上を通すことが必要になり、パスカットのリスクが高くなります)
・ベースラインのドライブに対して一瞬で動くことでパスコースを演出する事が可能となります。
当然、高いレベルになればなるほど、上記のようなオフェンス側のスペーシングはDFも理解しています。
オフェンスの状況に応じて、Helpディフェンスとしても駆け引きがありますし、カバーダウンなどを駆使し、3人目以降の選手の連動性で守ろうと試みます。
その中で、B.LEAGUEのゲームにて、栃木ブレックスの田臥勇太選手のプレーを図解で紹介します。
バスケットボールの奥深さを知り尽くしている同選手ならではのプレーです。
◇図3 田臥勇太選手がゲームで駆使するHELPディフェンスとの駆け引き
・ベースラインへドライブをする際、田臥選手は、X5のHELPディフェンスを意識したドライブを見せます。
自動的に1.2ステップを踏むのではなく、X5の選手を牽制しながらドライブを試みます。
・時折に見せるのが「目線」のファイクです。ベースラインへとドライブを仕掛け、X5の選手がHelpに出る瞬間、あたかも合わせの位置に動いて5の選手へパスを出すかのような目線や、一瞬のフェイクを行います。その仕草に合わせ、X5の選手は動きを止め、5のスペースを埋めようと動きケースがあります。
田臥選手は、自らのフェイクで作った花道を通ってリングへと向かい、レイアップを沈めてしまいます。
また、逆に、X5の選手がブロックを狙ってHelpディフェンスに行くタイミングを見計らっているのであれば、歩幅を変え、X5の選手をジャンプに飛ばせるタイミングで、5の選手へDish passを出します。
次回も引き続き、別のスペーシングにおけるドライブと合わせの関係性を紹介していきたいと思います。
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