WINTER CUP 2021での快挙の裏付け(中)☆速報レポート【梅原トレーナーのからだづくり哲学】
(承前)年末に開催されたウィンターカップにおいて、県で2番手のチームが全国ベスト8へ一気に駆け上った現実を、快挙や奇跡と見るか我が身にも起こりうる常と見るか。
チームになにが起きたのかと言われれば、間違いなくケミストリーがありました。しかしそれは天から突然にして力が降りてきたわけではなく、選手らのなかに閉じ篭もっていたなにかが開放されたのです。
私はつね彼らに「もっといつもの自分とは違う、広くて大きくて自由な表現(プレイ)をしよう」というようなことを語ってきました。
つまりは脳のスケールを変えろと。今のままで頑張っていても脳がそれを止めるから、突き抜けるためには自分のいまの運動のスケールを捨てる必要があります。
私のそれがあって良くなったとは微塵も考えていないし、実際にまったく影響していませんが、とにかくチームは自分たちにケミストリーを起こしました。
え?それできるんだ?
今大会の2,3回戦で、以前よりずっと気にしていて選手らにも話してきたいくつかの局面において、これまでとは180度ガラッと変わりパフォーマンスが冴えに冴えまくっていました。
ゴール下で力強くシュートを打てないセンター、ディフェンスでヘルプに出ない二線、リバウンドも誰一人絡みにいかず、オンボールのディフェンスは大雑把でフェイントに思い切り引っ掛かってしまいます。
精細さの無さ、思い切りの無さ、そういったものが半年前のインターハイ県予選でもまったく同じでした。
いくら努力しても毎度同じ、どうもグッと伸びてくるものがありませんでした。
そのあらゆる面が、今大会の2,3回戦で別人のような光るプレイに変わったことに、私は本当に心から驚きました。
え?できるの?どうして?
心の中で呟いていたかもしれません。
インプットされた運動しかしない
本当に技量が未熟であったならば、どんな神がかった力が降りてこようとも全国の強者どもをねじ伏せるプレイなど100%できません。
彼らはずっと勝てませんでしたが、奥底に眠った真の実力はちゃんと養われていたのです。ただその本領を発揮するイメージを持てずに、ずっとくすぶってきたと、断言できます。
これはまさか彼らにだけ、またこの大会に関わる時期だけの現象ではなくて、あなたのたった今にも充分に起こっている可能性のあるものです。
練習をいくらすれども上達が小さい、たくさん努力して体力も技術も悪くないはずなのにどうも勝てない、そんなことがないでしょうか。
それはもしかしたら、イメージを持てないから、固定したスケールから抜け出せないからかもしれません。
ジャンプひとつ、ダッシュひとつ、ボールミートひとつにあなたなりの決まった運動の広さがあります。
自分ではほとんど気づくことのない部分で、必ず決まった位置に脚をつき、決まった体勢やタイミングでボールを掴み、腕の振り加減やフェイントのリズムやボールの投げ方がいつも同じなのです。
ライブでは状況によってすべて違った場面であるのに、それに対処するあなたのパフォーマンスは毎回固定された同じものとなります。
シュート、ドリブル、パス、ジャンプ、ストップ、ターン、ボディアタック、これらがいまの場面でも別の場面でも関係なく、あなたは同じように動作を再生しているのです。
これが脳のスケールの固定です。
プレイ・スケール
じつはこれを取り払うだけで運動力は変わります。
もっと躍動的に大きくプレイしようとすれば、それを叶えるためにからだが動き、これまでとは違った身のこなしが生まれます。
これは自分に身についた技量を壊す作業になるので、からだにとっては不本意であるためパフォーマンスは固定されるのが前提です。
それを意識的に変えようと努めることで、縛られたパフォーマンスのスケールが段々と大きくなっていくわけです。
多くの場合、からだを小さく使っていてプレイが弱かったり鈍かったりしています。
本当はもっと脚が出るし腕も伸びるし、からだも大きく捻ることができるのに、自らプレイを小さく表現している人が圧倒的多数です。
自らそのように動いているのですから(あくまで無意識に)、走り込みをしてもダッシュをしまくっても筋トレでムキムキにしても、その良さがコートに顕れません。
良いからだをしているのにコンタクトに弱いとか、練習では走り込みばかりしているのに試合で足が止まる、なんてことがよくあります。
これは練習が足らないのではなく、本番に弱いのでもなくて、身につけた技術とスタミナを大いに発揮する新しいプレイ・スケールを脳が持っていないことに問題があるのです。
(さらにつづく)
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