FIBA-OQT決勝「イタリア対セルビアより」~イタリアのディフェンス1~
東京五輪が終わりました。
日本女子代表チームの大躍進、スロベニア代表チームの活躍など、様々な興味深いトピックスがあります。
筆者は、ベスト8に進出したイタリア代表チームの激しく統率の取れたディフェンス力に感銘を受けました。
本稿では、以前より継続的に扱ってきた「スペインピック&ロール」を題材に、イタリア代表チームのディフェンス事例を取り上げたいと思います。
題材は、セルビアで開催されたオリンピック最終予選の決勝戦。セルビア対イタリアのゲームとなります。
1、プレーの構図
2、プレーの流れ
セルビア代表チームはスペインピック&ロールを狙ったプレーを仕掛けてきます。
イタリア代表チームは、最初のスクリナーのディフェンスがボールマンを守る手法を選択しました。
X5がドリブラーに対してマークをし、リングへの進行を防ぎます。
インサイドに対しX1がマークをします。センター対アウトサイドの為、高さのミスマッチが発生しています。X1もサイズの不利を把握しています。
迷いなくパスコースを防ぐことと、コンタクトに耐えられる態勢を整えます。
セルビア代表はアングルを変えたパスを狙いますが、パスコースを防ぎます。アウトサイドからの1対1の状況に追いやり、最後はブロックショットが成功しました。
3、まとめ
ドンチッチ選手のプレーを紹介する記事でもスペインピック&ロールを数多く紹介しました。
本プレーを守ろうと思った際、各ポジションのディフェンス選手にとって数多くの選択肢があり、困惑を誘発するプレーであることは以前の記事でも紹介をした通りです。
素晴らしいのは、X1の選手がインサイドへのパスコースを遮断していることに加え、各選手が迷いなくチームのディフェンス戦術を遂行している事ではないでしょうか。
勿論、インサイドに安易にパスが通ってしまって失点をしたかもしれません。
また、G選手をマークするX5の選手が簡単に抜かれてしまえばゴール下でのシュートを許したはずです。
ドライブを警戒して下がりすぎれば、3Pシュートを簡単に決められていた可能性も考えられます。
それでも責任領域が明確な為、次回以降の改善もしやすいです。
またX2の選手も、トップへと上がっていく選手のマークをきちんと優先しています。
ここで5の選手を守ろうとしてしまった場合、トップがフリーになります。
守り方が曖昧で失点をしたケースと、すべきことをした上で失点になったのでは、次回以降の改善や各選手のディフェンス能力の成長にも雲泥の差があると感じます。
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株式会社アップセット所属。GSL(ゴールドスタンダードラボ)編集長として記事の製作、編集、各種のイベントなどを多数実施。近年は『Basketball Lab』にて記事執筆と編集、『バスケセンスが身につく88の発想 レブロン、カリー、ハーデンは知っている』・『バスケットボール戦術学』などで編集協力として関与。トーステン・ロイブル氏を講師とするEuro Basketball Academy Coaching Clinicでは事務局を務める。活動理念は「バスケットボールに情熱と愛情を注ぐ人の、バスケ体験の最大化」・「バスケ界にヒラメキを作る」。JBA公認コーチライセンスC級保有(2021年3月にB級を受講)
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