【梅原トレーナーのからだづくり哲学】部員一人一人が離れることでチームは強化される
スキルアップ チーム作り トレーニング メンタル(心) 指導法 梅原 淳 育成法
バスケットボールはチームスポーツだ。勝つためにはチームとしてひとつにまとまる必要がある。それは誰だって理解するところだろう。
チームスポーツと同じように、私たちの日常にだってチームがある。家族はもっとも繋がりの強いチームだし、社会というものも大きなチームと言える。
都道府県や国でもひとつのチームを感じることができるし、学校の中にも学年やクラス、仲の良い遊び仲間などでチームがつくられている。
つまり人間の生きる世界にはたくさんのチームがあって、私たちはどこかへ属しており、じつは生活のほとんどがチーム単位と言っても過言ではない。
だったらチーム(共同体)というものを生きる真っ先に置こうと、普通は考える。それを一番大事に育むことで、我々人間はより良く暮らしていけると信じることが自然だ。
でも真実は違う。
チームが真っ先ではなく、先頭に自分を持ってこなければいけない。
どうしてか。
チームをつくるのは、私たち一人一人だからに他ならない。
一人の人間の支えがあって、それを横から別の人が支えて二人になり、そうやって少しずつの支えが増えていくからチームは強くなる。
私たちが属する社会というもの、日本というもの、仲良しグループというものは、私たち自身が支えて成り立っているものなのだ。
だから敢えて言いたい。
一人になりましょう。
一人になって考える
私はスポーツ現場でいつも子どもらに、「ちょっと友達と離れて一人になりなさい」と投げ掛けている。
遊ぶな話すなという意味ではもちろんない。友達を作るなと言っているのでもない。
今のまま、なにも変えず、ただ自分を自立した一人の人間として扱おうと言っている。
グループの中に自分がいる、クラスの一員として自分がある、いまの人は、いや日本人はその意識がめっぽう強い。あまりにも国として地盤がしっかりしているからだ。
しかもそれが2,000年以上続いている。こんなにも安定的な社会基盤を続けてきた国は、他に例がない。
それがある面では弱点となり、一人の強さが薄れてしまうことになった。
学校ではつねに誰かと行動を共にして、判断も一緒、使う物も一緒、タイミングもなにもかも一緒だ。手を抜くのもみんな一緒。
あいつはサボっているけどオレは頑張る、と言う独立した思考がほぼ見られない。みんなが周囲を見渡し、周囲に合わせようとする。自分の力強い意思がない。
だから一人になる経験を積もうと、選手らに声を掛けている。
十人十色が本当は健全
友達がチーム練習後、体育館に残ってシューティングをしていくと言ったとき、あなたはどうするか。
反対にあなたがシューティングをしていて、いつも一緒の仲間が「よし帰ろうぜ」と言ったときに、なんと返事をするか。
もちろん正解などない。どんな判断をしたって構わない。ただ他人に付き合わずに、自分で行動を決めることができるだろうか。
別々の人間同士、本当は取る行動やそのときの考えがマッチすることなど、そう多くはない。
たまたま重なることはあるだろうが、兄弟でもないのに五人十人みんながつねに行動も気持ちもタイミングも力の入れ具合も同じになることは、決してあり得ない。
それなのに現実はどうか。みんなくっついて似たり寄ったりになる。私はそういう個の消えたチームを日々見ている。これはチーム一丸とは、まるで次元が別だ。
頑張らない者がいたって良い、それは個人の感覚だ。頑張らない者の横に、死に物狂いで頑張る者がいたって不思議ではないだろう。両者が同じチーム、同じ空間に存在することは、一体なにが悪いのか。
その中間くらいの、そつなくこなす世渡り上手な人間だって、存在する可能性がある。十人いれば十通りの行動があるのが、本当は自然だ。
それがどうしてか、みなひとつ。
家族であっても個を最初にもってくる
これだから異種の交わりが起こらず、全体が強化されていかないと私は考えている。
あなたと私、まったく意見も趣向も生活スタイルも真逆の者同士がいて当然だ。それぞれの魂を持っているのだから、両者が同じなはずがない。それがなぜ同化してしまうのかは、はじめに言ったとおりだ。
チームを真っ先に考えているからである。
個人よりも、友達グループの決め事が優先、クラスの規則が優先、家族のルールが優先になっている。どうだろうか、ご自身の身において考えてほしい。
チームのためにあなたがあるのだろうか。たとえ血の繋がった家族にあっても、本当は個人が先頭のはずなのだ。
個人の意思を育て、考え方を熟し、行動を鍛えてこそチームを支えられる。あなた自身が一人の足で立ってはじめて良い家族をつくることができるのだと、自立している人はみな実感しているだろう。
だからあなたも勇気を出して一人になろう。
お互いの自立を尊重しつつ、必要な場面では肩を組める関係を築いてほしい。
チームを強化するためには、部員全員が一人になること。違和感のある言い方に聞こえるかもしれないが、それが最強のチームをつくる礎となる。
今度から友達の言動など気にしなくて良い。各々が個人で決めて好きに行動しよう。
残ってシュートを打ちたいならそうすれば良いし、帰っても良いし、ウエイト・トレーニングをしても良い。目標も取り組みも、他の誰のでもなくただ一人自分で考えたプランを実行しよう。
ワンチームが、色んなタイプの選手で華やかに色づくことを楽しみにしている。
(了)
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