【梅原トレーナーのからだづくり哲学】 能力のある選手へのバイアスを取り除こう その3

スキルアップ 指導法 梅原 淳 育成法

チームの作り方は様々であるが、確実に言えることがひとつある。精進することなしに成長はあり得ないということだ。

チームとはスポーツの話に限らず、仕事、家族、仲間、人生のあらゆる物事において、土を耕す努力なくして作物は実らない。

トレーニング・コーチの端くれである不肖私の信念も、選手自らの成長への意欲と頑張りを育てることにある。

▽強いチームをつくるには

第一には、選手が自分のスキルを伸ばそう、もっと上手くなろうと意欲をもっていることが不可欠だ。

無いのならば辞めてもらったらいい。強くなっていこうとする場において、やりたくない者がなぜいるのか。頑張りたくないのならば部活動に来なければいいのだから、「とりあえず所属しているから〜」はやめにして、きちんと話し合うべきだ。

部活動は強制ではなく誰もが自由に参加できるものであるのと同時に、学ぶ場であるから、それをしないとか周囲に迷惑を掛けることは許容されない。規律規則はしっかり守られる必要がある。

▽絶対不可欠なマインド

高校の部活動は、1年毎に部員の3分の1が入れ替わる。毎年人が替わっていくのに結束力や士気が年々強くなっていくチームがある。それはどういうことか。

戦力は確実に変化する。プレイヤーが毎年入れ替わるのだから、間違いなくチームの競技力は不安定だ。それなのに年を追うごとに安定感を増し、着実に順位を上げていくチームにはいったい何があるというのか。

これはリクルートがうまくて、毎年素晴らしい選手が入ってくるからではない。選手の能力頼みで勝ち続けるチームはない。

強いチームとは、精神的にタフであり絶対に強くなるという意気込みが全体にみなぎっている。意欲があり、頑張りがあり、真剣さがある。だから選手が入れ替わっても変わらない。

競技への向き合い方、練習の取り組み方、チームの支え方や貢献の仕方、それは鍛えることができてかつすべての部員が身につけることができる。

精神的な修養、それがチーム強化に最も肝心な要素だ。向上心さえあれば誰だって成長できる。強くなることはじつにシンプルである。

▽妨げとなるのは「気の無さ」

力をつけていこうとするエネルギーを阻害するのは、頑張る気のない者の黒く淀んだ空気である。

ふざけて邪魔をしたり悪態をつくことはもはや論外だが、そうではなくても何かを作り上げようとする意思のない「無気力さ」は、現実としてチーム成長の最大の敵と言えるだろう。

それを放置しているチームが意外と多いのだが、たかが一人の人間の個人的な行為と侮るなかれ。

中にはそんな選手もいるだろうと放置していると、知らぬ間にそれが伝染して、怠惰な空気がチーム全体に広がってしまうことになる。

目標を持たず、向上心を持たず、遊び半分とか気分を発散したいだけの部員は必ずいる。入部してくることは防ぎようがないけれども、好きにさせてしまうとチーム全体が崩れていくので注意することだ。

無気力はチームを腐らせる最悪のマインドである。

▽できないよりもやっていないだけ

頑張りさえすれば必ずなんでも手に入る、などという戯言をいうつもりはない。ただ真っ先に「前へ進もうとする意志」が無ければ、物事はうんともすんとも言わない。

正しい理論は不可欠だ。よく勉強し正確な知識と方法にて修練を行うことが、あなたを良い道へと導いてくれるだろう。

本当はそれさえあれば真っ直ぐに成長していけるはずなのだが、如何せん人間は感情で動く生き物なので、すべて「気」の力が影響する。

必至にやって諦めずに頑張って、それでもうまくいかないという現実的な「限界」でつまずいている人は意外と少ない。現場でくすぶる選手やチームのほとんどは、できないのではなく「やっていないだけ」のことだ。

▽やればできる

そういう意味で「頑張れば何だってできる」という話は本当だと言える。

成功するかどうなるかはまったく分からないけれども、結果がどうあれ挑戦しようとする力強い歩みは、自分の中で確実に何かを作り上げる。

それをチームづくりでも行うことが大原則だと、私は全国を回ってきて強く実感している。

頑張る「気」が無くなってしまったら、チームづくりは100%成り立たない。

▽監督の尽くすべき事

チーム成長に最も大切なものと引き換えに、たった今の試合に勝ちたいが為に練習を怠ける選手を起用することをやめるべきだ。

そんなコーチの心の迷いや意思の無さは、きっと選手に見抜かれている。だからいつまでも何も正そうとしないのだ。甘えているのである。

チームにとって使える戦力だろうと誰だろうと、立場・条件は全員一緒だ。特別扱いをしては、断じていけない。

もしチームの主力として使うというのならば、徹底的に指導して行いを正すことだ。チームを代表する人間のあるべき姿というものを、しっかり教育すればよい。それはコーチのいや教師の使命だと思う。

このチームが強くなるための道筋、果たすべきことははっきりしている。今よりも成長することは、いたって簡単である。

本当は分かっているけれど、億劫になり蓋をかぶせて見ないようにしていることを真正面から取り組むことに、唯一つの正解がある。

今後も全力でサポートしていきたいと思う。

 

 

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