【梅原トレーナーのからだづくり哲学】 ミニバスクリニックで動きづくりを行いました

スキルアップ 梅原 淳

6月初旬、ミニバスの監督さんからチームづくりの相談を受け、スポットでクリニックをおこなうことになりました。

私は埼玉県に住んでいますが、自宅からわりと近く、車で1時間くらいの北葛飾郡というところで活動されています。

車で1時間がどうして自宅の近くだと突っ込まれそうですが、私は飛行機でも船でもあらゆる交通機関を使って日本全国のチームと会っていますから、このくらいはもう隣近所の感覚です。

周辺地域から相談を受けたことは、素直に嬉しくワクワクしていました。

とくに小学生はスポーツの入り口ですので、ここでしっかりと正しい基礎を習い、また焦らず偏らず能力を広く伸ばしていくことが将来を明るくします。

その小さなお手伝いができることは幸せです。本当なら、ミニからちゃんと運動づくりに取り組むことが理想ですが、私のいまの中心は高校そして中学です。

今回はとても素晴らしい機会と試みになりました。そのときのエピソードをひとつお届けしようと思います。

▽事前に何度も監督とメール

午前午後どちらも小学校の体育館が使えるということで、二部練習を行いました。

監督さんからは事前に「ディフェンス」を課題としていると相談をもらい、どのように教えていくべきか悩んでいることもありのまま話してくださいました。

私は前日までに監督と何度もメールを交わし、まだ見たことも会ったこともないチームそして子どもたちの様子をできるだけ把握するよう努めて、良い提案を出せるように準備しておきました。

もちろん当日に実際のプレイを見ることでその事前情報がさらに具体性を増して、用意したプランからもう一歩踏み込んだ内容を提示することができます。

この日は午前の練習にて「跳ぶ」「走る」「切り返す」といった自由な動きを発揮する試みをおこなって、午後にバスケットボールとしてのスキル「ディフェンス」へと進めました。

それがチームからの依頼内容でもありました。

こうすることで、数多のシチュエーションが似たような動作で繋がることを発見できます。

オフェンスでもディフェンスでも、シュートでもパスでも、走りでもコンタクトでも、うまくプレイする「運動的コツ」は類似しているのです。

▽手を下げただけでディフェンス力UP

午後に入り、バスケットボール部がよりバスケットボール的なトレーニングへと段階を進めたわけですが、それでも私はずっと「バスケットボールから離れよう」と伝え続けました。

一点を見過ぎてしまうと、創造的な思考が消えてしまうからです。

小学生からそうなってしまえば、先々に光は見えません。

頑張ってハードに練習してもなかなか上達しないとか勝てないというのは、視点が狭くなっていることが少なくありません。

午後の後半、最後の1時間ほどで、ハーフコート3対3の攻防をおこなった際にそれがしっかりと顕れました。

子どもたちのディフェンスがとても良くなったのですが、私が教えたのはバスケットボール的スキルではなくて、根本的なからだの動かし方です。

どのように横へ蹴るか、身体の向きをどうするか、その場合に足はどのくらい開と良いかなど、ケースに応じてどのように工夫するとうまくからだが動いて良いプレイを出せるかが焦点です。

出す足ひとつ、手の向ける方向ひとつに具体的方法を示します。

そのなかでコーチ陣がいちばんの発見と感じたのが「両手をバンザイしてしまうクセ」だったそうです。

もしかしたら子どもたちは、ハンズアップをしっかり行おうとしていたのかもしれません。

もしくは手が触れてしまうとファールを吹かれるので、触っていないというアピール(よく見る光景)ということも考えられます。

これは未確認です、選手に聴いてはいません。

とにかくオフェンスとディフェンスが触れそうになると、なぜかしょっちゅうバンザイをして、そうなると姿勢も膝が前へ出ますから腰が浮きます。身動きの取れない体勢を、自らつくっていました。

それを何度か指摘してやめさせると、ディフェンスがたちまち良くなりました。当然ですね、窮屈な体勢が消えて自由になったのですから、からだはよく動きます。

ディフェンスのできない根本的な原因は、このようなところにあるのです。それは視点を広く持つこと、バスケットボールを一旦忘れることが必要になります。

▽大胆な提案をささやかに尽くす

監督さんたちは「盲点だった」と仰いました。

そこに視点が無かったと。

純粋にダッシュ力や力強く止まる力を鍛えていたところに、まったく別角度の提案が糸口となりました。

見えているはずなのに、意識が向かないと目に入らないものです。

いや目には映っているのですが、脳が感知しないのでしょう。だから見えない。

でも実際の伸び悩んでいる原因や、物事が動くきっかけは根っこにあることがほとんどで、それは今回で言えばバスケットボールだけで考えることから離れて、広く「運動」の要素、さらには習慣的行動(無意識)などを観察することでポイントが見えてくるのです。

私が日頃から部活で伝えたいのはまさにここで、今からでも変われる人がたくさんいることにスポーツの明るい可能性を感じ、またそれがスポーツトレーニングコーチという仕事をしている自らの役割だと考えています。

微力ながら精一杯に尽くしました。これからもささやかな提案を続けていきます。

今回はとくに小学生でしたから、もってこいの機会に恵まれました。

わずかでも伸びるきっかけとなることを祈ります。

まだまだ、皆さまのところにも伺いますよ。

一緒に考え、手を尽くしていきましょう。

心から、応援しています。