【梅原トレーナーのからだづくり哲学】 トレーニングレポート No.150「女子選手の足さばきを鍛えよう」

スキルアップ 梅原 淳

こんにちは、梅原淳です。

今日は女子選手にフォーカスしたレポートをお届けしましょう。

私はここ数年、女子選手の応援を積極的にしていますが、担当するチームに女子チームが多いからとか、そういうことではありません。

長年、子どもたちを見てきて、眠っている才能(原因は色々)がたくさんあると理解しました。

限界ではなく本人が才能に気がついていない、脳と身体がまだ動き出していない面が多々あり、それでは大損をしているぞということで、可能性のあることはでき得るかぎり挑戦しようと公言したまでのことです。

女子に眠る能力のなかで、もっとも気になるのが「足さばきの弱さ」です。

弱さという表現は部分的なものであり、重い、ゆるい、遅い、色々とありますがちょうど良い言葉がなかなか見つかっていません。

でもなんとなくイメージできるでしょうか?

日本の女子選手的なものと言いますか、とくに10代の選手における一般的な運動量および質と言えばこのような感じ、というものが思い浮かぶかと思います。

それはおそらく機敏で、パワフルで、器用で、とは反対のものではないでしょうか。

動作に力感があるのは成績上位の選手だけで、一般的に見ればほとんどの女子選手は、たとえば走ることひとつとっても床の蹴り方や足の回転にそれを見ることはありません。

私はそれを変えたくて、世間に定着している「女子はこのくらい」も変えたくて、微力ながら懸命に働きかけてきました。10代女子アスリートの脳と身体へ、エールを送り続けてきました。

それでようやく、少しずつ足感覚の良いチームが現れ始めました。

割合の一番多い一般的なチームと選手

ごく一部の能力の高い選手のことを指しているのではなくて、どんなチームでもどんな選手でも鍛えることで「女子っぽい足の動き」を覆して、力の漲ったフットワークを行えるようになります。

それが証明されるのは、平均的な選手とチームであればこそ。

全体の底上げをすることが、私の仕事のひとつです。

ほとんどの日本の中高生において「女子選手と言えばこのくらいの感じ」が頭にこびり付いていて、現状の運動感覚を不満もなく受け入れています。

そうであるがために、女子選手は筋力トレーニングなどをしてもあまり変化がなく、運動の量と質に目立った伸びが見られません。

ここを簡単に「その選手の才能」と、運動能力的な限界であるかのように皆決めつけているのですが、それは大きな見当違いです。

本当は、まだまだ能力は上を向くのです。

程々で「鍛えた」としているレベルを脱する

女性だからこの程度としている思い込みを取り払うにはいくつかの方法があり、ちゃんと鍛えれば誰であっても機敏に動く足を身につけられます。

たとえばシンプルな方法を言えば、毎日男子と一緒に練習する、自分よりも運動レベルの高い人と一緒に練習する、といったものがあります。なんとなくイメージできますよね。

それを映像で繰り返し見続けるという方法も、似たような作用になります。

また実際の練習では、時間や距離など数値的な目標値をグッと上げて、からだへの負荷を増やします。

大抵は、トレーニングと言っても無難に行えてしまう程度のものです。

全力で行わなければクリアできない設定のトレーニングなど、全国の部活動に携わってきてほとんど見たことがありません。

いまの自分で間に合う範囲では、運動体力は伸びていきません。

コートを10秒で1往復できるならば、9秒に設定しなくてはいけないし、足さばきをもっと速くするためには、からだに刻み込まれたペースを上回るリズムを音などでつくり、そこへ合わせる練習を行う必要があります。

急ぐとか慌てるという言葉はあまり良い意味ではありませんが、からだへの負荷としては危機迫るような刺激は、客観的事実として眠った能力を呼び覚ます要因となります。

このような方法により鍛練を積めば、一般的な中高生の女子選手でも(もちろん小学生だって)機敏な動作、軽やかなステップワークを身につけることは充分に可能なのです。

正しく鍛えること

細かく速く、そしてリズミカルな足運びを得るべく、まずは本当の全力を出してフットワークをおこなってみましょう。

息が切れてすぐにバテても構いません。

それだけ集中的に力を出し切れている証拠ですので、はじめはわずか1本しかできなくても、それは日を追えば段々と伸びていきます。

大事なことは100%が出ていることです。

そして100%でも追いつかない目標値に設定されていること、さらに持続できない量(本数・セット数など)をノルマにすることです。

そうして強い負荷を掛けることで足は着実に強くなり、逞しく俊敏な足さばきを手に入れることが叶うでしょう。

では最後に、「女子っぽくない」身軽な足の選手たちを見てみましょう。

参考になれば幸いです。

この記事を書いた人梅原淳梅原 淳
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。
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