【梅原トレーナーのからだづくり哲学】掟破りのプロテイン(後編)

梅原 淳 食トレ

(承前)私の身に起きたごく最近の出来事にまつわるエピソードを、スポーツのからだづくりという趣旨を踏まえてお伝えしている。

前回は、極度の疲れをからだ自身が危険と察知して、栄養を摂れと信号を出したところまで話した。

私は我が子の送迎の折に近所のドラッグストアへ寄り、自ら禁じたサプリメントを摂ろうと思った。からだの中から「タンパク質を摂れ」という悲鳴が聞こえていた。

さて店内に入り、まっすぐ向かったところは・・・

どうみてもチョコのスナック菓子

薬コーナーの向かい側は、サプリメントの棚だ。

各社プロテインがずらり並んでいる。ただそれは量が多いので買いたくない。ただ一度きり、いまだけ自らのルールを犯してタンパク質を摂りたいのだ。

裏に回るとありました、スティックタイプのスナックのようなプロテイン。その名も「プロテインバー」と書いてあり、なるべくタンパク質の量が多いもの選んで、それでも絞りきれず4本も購入してしまった。

さらに道路を挟んで向かいにあったコンビニエンス・ストアでも、タンパク質を摂ることを目的とした食肉加工品「サラダチキン」というものを2つ買ってみた。

車に戻り、ひとまずお菓子のようなプロテインバーを頬張る。チョコ味だった。かなり甘い。

固めのチョコ菓子をボリボリと食べていると、からだが少し軽くなってきた。面白い反応だ。食べれば食べるほど、自分のからだがホッとしているような感じが伝わってくる。

嘘ではない、息苦しかったのが治ったのだ。とは言っても、ここではじめて呼吸が押し潰されて詰まっていたことに気づいた。その感覚も、辛さがスッと和らいだおかげで認識したというわけだ。

とにかく、一時的かもしれないが、たった一本お菓子みたいなプロテインバーでタンパク質を摂っただけで、気怠さや重さがずいぶんと鎮まり楽になった。

誇張はなにもない。そのときは本当にスッキリして子どもと妻を迎えに行き、寝る直前まで重い身体に戻ることなく就寝できた。

食べながらみるみる回復

私はまさか、その商品を賛美しているのでも、宣伝しようとしているのでもない。

若い頃には毎朝飲んでいたプロテインパウダーやビタミンサプリだったが、あるときからその類いを一切やめたのであり、それはいまも変わらない。

今回は思わぬ不調により試してみたところ良い変化を得られたということであり、不要ならばそれに越したことはない。

無理に大きく書いてアピールしようとしているものではなく、本当にありのまま自分でも「まさか」と思うくらい簡単に、しかも食べてすぐからだの安堵と実際に楽になっていく感覚を得たのだ。

これこそが人体の不思議というものだろう。

あまり言うとやっぱり誇張だと呆れられそうだから気は進まないが、実際は食べている最中から解放されていく感覚があり、からだのなかで「たすかった」という声がしていた。

栄養成分が取り込まれるのには、数時間掛かるというのに。

枯渇して危険信号が出ていると、補給を認知した瞬間からからだは回復へ動き始めるということかもしれない。

完全な見当違い

今回のことで自覚したのは、そろそろタンパク源に配慮して量を増やさないと、またこのような枯渇状態が間違いなく起こるということである。

裏を返せば、プロテインを常食としたならば間違いなく私のからだは太く大きくなるだろう。それが一番手っ取り早い。

ほぼすべての肉体づくり愛好家は、これがあるから筋肉隆々のからだを作れている。一切を通常の食事のみでビルダーのようなからだにするのは、かなり難しいことも改めてわかった。

この日からさらに2日間、翌日と翌々日まで残りのプロテインバーとサラダチキンを分けて食べた。

やはり完全には復調するものではないので、買った物だけはすべて食べてしまうことにした。それにからだが欲するうちは枯渇しているということになる。強い食欲が無くなったのは3日後あたりであった。

私はこの経験から(似た経験は初めてではない)、トレーニングをフリーウエイト中心にするからには、相応のタンパク源を食べなくてはいけないと悟った。

しかしそれを、サプリメントのような加工食品に頼らず普段の食事でかなえる必要がある。自分でプロテインは摂らないと決めたからだ。

別に頑固なわけではなく、自然な生活において育てられるからだというものを試している。

今回の不調について「風邪をひいた」「ビールで冷えた」「わずかな不摂生で身体を壊した」などと推察したが、たんなるタンパクの欠如という結末になった。あんなに辛い症状だったのに・・・

現実に、まるで予想しないことが原因のこともある、という教訓になった。あらゆる可能性を以て物事を探せるよう、精進していきたい。

運動している人、からだづくりをしている人、肉体労働の職業の人は、一般的な量の何倍も食事を摂りましょう。

お読みいただき有難うございました。

(了)

 

この記事を書いた人梅原淳梅原 淳
運動技能を向上させる専門家として、またバスケットボールでのファンダメンタル・スキルを教えるコーチとして全国各地に出向いています。またその活動から得た日々の思考や発見を、YouTubeなどSNSを活用して情報配信しています。このコーナーで扱う内容は、それらSNSでは記さない一歩踏み込んだ情報として、トレーニング実践レポートをはじめ自分の育て方、大人の再教育、子育て、健康づくり、みなぎる食事など、あらゆるジャンルをテーマにお届けします。

 

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