【梅原トレーナーのからだづくり哲学】 伸びるチームは新入生の慣れが早い(上)

スキルアップ 梅原 淳

私はチームづくりが前進しているかの指標を、新入部員の様子から判断しています。

そこにチームの行く末がよく顕れているからです。

これは私の個人的な解釈や思い込みなどではなく、現実として良い組織には求心力が備わっていることを知識と経験でよく理解しているので、客観的事実としてチームの立ち姿には今後が暗示されています。

そのチームが今後、安定的に成長していくか否かは、入部したばかりの新入生がどのくらいでシャキッとするか、すいません曖昧な表現ですが、本当にその様子でチームの強さが推し量れます。

▽どんなチームが伸びる?

外から見て盤石に思えるチームは、成長を大事にしています。

選手の才能や実績よりも、いまからどのくらい力を伸ばすことができるか、現時点での力より成長勾配を期待しています。

新入生がチームに馴染む早さ、わずか数ヶ月でもずっと前からそこにいるかのような逞しさを見せる新入生であれば、確実にチームづくりは良いほうへ向かっています。

年下だからといって「できない前提」をつくらず、先輩たちと同じように活発かつ迅速に行動してスムーズに練習を運ぶことができるならば最良でしょう。

そこにはすでに「入ったばかりの新入り」の顔はありません。

中学高校あたりで考えるならば、新年度の一学期、4月から7月の4ヶ月ほどでどれくらい新入生がそれらしくなるか。

とけ込むことの早いチームは、二ヶ月もすれば見て気づかないくらい堂々たる部員となり、それは当然もっと早いところだってあります。

この馴染みの早さは、実際に数年後の勝敗にハッキリと示されるのです。

▽共に志がある

一見客感覚の新入部員がいつまでもその雰囲気を出しているようなら、チーム全体に悪く影響するでしょう。

それは今だけにとどまらず、将来的に長く続くことになるものであるし、新入部員本人も成長が鈍ることになります。

これらは新入生の運動の実力とは違います。

スポーツの技量が高いから先輩たちの運動量についていけるとお考えかもしれませんが、プレイをして先輩に通用するかどうかを言っているのではなく、練習や試合において見据えるものが同じであるか、ということです。

そこには目的があって、目的を具体化する目標があるはずです。チームの同志として、先輩と後輩なにも違わず「うまくなりたい」「強くなりたい」「勝ちたい」というスポーツの必然たる意欲が合致します。

そうなればもう、新入生も新入りも新入部員も存在しません。

目標達成と自己成長に燃える者が集う、充実した部活動があるのみです。

▽落とし穴を知っているか否か

これは新入生だけの問題ではありません。

本質は、それを受け入れる上級生のあり方に懸かっていると言って良いでしょう。

つまりチームビルドされていれば、4月に入りたての選手が良い空気を吸って、すぐに意欲的な練習をするようになります。

私自身もそのような様子をたくさん見てきました。

反対に新入生がいつまでも別の雰囲気を出し続け、チームもそれを許している場合があります。

確実に不利益なのですが、そこに対しなにも行動しないケースが多くあり、新入生が「できなくてあたりまえ」を延々と続けているようなチームは、そのことがどれほど自分たちの成長を阻害するかを知らず、自覚のないうちに衰退することになります。

いつまでものぼらないチームというのは、その落とし穴にはまっているのです。

これは決して大げさな話ではありません。

(次回へつづく)

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