【片岡編集長のレポート③】ミドルラインにおけるスペーシングと「dishパス」について

スキルアップ 片岡 秀一 練習法 育成法

前回は、ベースラインドライブとの合わせに存在する共通認識、それが可能にするdish passについて説明を試みました。

今回は、ミドルラインにおけるスペーシングや、それに付随するdishパスについての説明を試みたいと思います。

ベースラインへのドライブ同様、U16アジア選手権では、ミドルラインドライブからのチャンス創出が目立ち、ゴール下の得点機会を産み出していました。

インサイドからのアタックプレーでペイントエリアでの得点機会の創出は簡単ではありません。鋭いパスが、数多くの得点やフリースローを導いてくれたように感じました。

今回は、予選リーグのレバノン戦、鋭いパスからのゴール下のケースを例に紹介します。

 

◇ミドルラインドライブとインサイドの合わせ

 上記の鋭いアシストパスを可能するのも共通理解ではないでしょうか?

ケースとしては、ボールサイドのインサイドにオフェンスがいるスペーシングです。

この状況でミドルラインにドライブをした際、Helpに出たディフェンスが守れる領域、守れない領域を、ドライブする選手、レシーブする選手の両方に共通認識があれば、一瞬のギャップを活用する事が出来ます。

 

<メモ>

・ミドルラインへドライブをした際、インサイド選手はスペースを取る事が推奨されています。

・そうする事で、X5はボールマンのドライブ、またはインサイド選手を守るかの二者択一に迫らせる状況に追いやる事が出来る為です。

・X5の選手がボールマンに向かってきた際は、スペースを取った5へパスが可能です。ミドルレンジに自信のあるインサイド選手の場合は、非常に美味しいエリアとなります。

・ドライブをした際、台形エリア付近で、DFの状況を観察をしてdecision makingをする事が重要になるはずです。もし、X5の選手がゴール下に居座るのであれば、ミドルシュートやフローターシュートが有効になると思われます。

 

<メモ>

・決定的なアシストパス(dish pass)が上手い選手は、認知・判断・実行の回路が非常に優れていると感じます。ゴール下へアタックをした際、X5の選手がボールを止めに来れば、その瞬間に5へパスが可能です。スペースを確保したままでも良いですが、再びゴール下に踏み込んでリング下での合わせを狙うケースもあります。

・前回の田臥選手同様、上手い選手になると、Help DFを惑わすフェイク、緩急を駆使してきます。一度、台形付近でストップをし、5番の選手へパスを出すような素振りをする。5番の選手が反応をすれば、そのまま自分でレイアップに持ち込むチャンスも増えてきます。

 

◇ミドルラインドライブとアウトサイド同士の合わせ

続いては、ミドルラインドライブに対するアウトサイド同士のスペーシングです。ミドルラインのドライブに対しても、スペースを取って拡がる事が推奨されています。

これも、DFに対して、二者択一を迫る為です。

・ミドルラインのドライブに対して、スペースを拡げる動きが基本となります。

・X2のDFがミドルラインに一瞬でも寄った瞬間、スペースを拡げていればパスコースが出来ます。レシーブした瞬間にはクローズアウトのシチュエーションになっています。

 ※図では、DFの動きとOFの動きを別々に記載しています。実際のゲームでは、ドライブと同時に動き出すことでスペースを作り出します。

・ウィングへのパスを警戒し、X2のDFがHelpの位置を弱めれば、深い位置までドライブインをするチャンスが広がり、得点チャンスを増やすことが可能です。

 

<メモ>

・仮に、オフェンスがトップに留まってしまうと、ドライブのスペースも、パスコースもありません。

・苦し紛れにパスをしたとしても、X2は、直ぐに自分のマークマンに戻れてしまいます。

(ショートクローズアウトになってしまいます。アウトサイドシュートも難しいですし、カウンターのドライブを決め切る事も難しいです)

 

図で見ると、そこまで珍しい動きではないかもしれません。

しかし、ミドルラインのドライブに対してスペースを取る動きでフリーの選手が出来上がるシチュエーションは実際のゲームでも数多く見受けられる事が出来ます。

それも、ドリブラーと、他の選手の共通理解があってこそです。

 

次回は、リオ五輪準決勝のセルビア対オーストラリアより、上記のスペーシングを踏まえた名場面を紹介していきます。

当時は、トルコリーグやEuroLeagueの強豪であるフェネルバフチェ(Fenerbahçe)、現在はサクラメント・キングスに在籍するボグダン・ボグダノビッチ(Bogdan Bogdanović)選手の素晴らしい状況判断に迫ります。

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